無料のパタゴニアのカタログからわかる、登山道具を永く作り続けるには|登山初心者読み物
パタゴニアのカタログが届きました。
パタゴニアのカタログは、オンライン上で、メールで名前やアドレスなどを記入して申し込めば誰でもタダで入手が可能です。→(無料のパタゴニアカタログ請求はこちらから )
カタログに載っている製品の情報はもちろん重要で、チェックすべき事柄ですが、それ以外にも秀逸な記事が載っています。
それは、パタゴニアの会社としての活動内容や、アンバサダー(パタゴニアでサポートしている個人)の活躍している写真やその活動などが載っていて、それを見るだけで、カタログを取り寄せる価値は十分あると思います。
今回の表紙は、夏を意識した、男性が海に潜っている表紙で、なぜかそれを見るだけで、ワクワクしてくるグラフィックでした。
中のグラッフィクも一見の価値ある内容のもので、気に入ったグラフィックは切り取って、保存して、ときどき眺めていますが、今回、活動内容の記事についても、考えさせられるような記事がありました。
その記事はフェアトレードことを端的に紹介している記事でした。
パタゴニアのフェアトレード
まず、フェアトレードとは何かというと、
「フェアトレードとは、開発途上国の原料や製品を適正な価格で継続的に購入することにより、立場の弱い開発途上国の生産者や労働者の生活改善と自立を目指す「貿易のしくみ」」
参考:フェアトレードジャパン
のことです。
今まで(今も?)日本は中国や東南アジアのような、物価が安く、人件費が安い国に工場を作り、そこから値段の安い製品を作っていました。
そのような仕組みは、自分もある程度わかっていましたが、その作ったひとたちの生活や、その待遇、そして、それらを作るために、生態系などのどう影響しているかまでは深く考えたことはありませんでした。
自分の使っている、ウェアやスキーの板、靴やロープなどがどのような材料を使って、どのような流れで、どのような人の手が使われているかというのは、普通、なかなか想像しない事柄(ことがら)だと思います。
カタログには、パタゴニアの社員、デイヴ・ラストヴィッチが、スリランカの製品を製造するフェアトレード認証を受けた工場を訪れるところから始まります。
パタゴニア社員デイヴの視点から
デイヴはサーフィンを昔からやっていて、その製品の流れをとても知りたいと思っていたようです。
しかし、サーフィン業界にとっては、その流れが完全に透明になってしまうと、とても都合が悪い!(理由はどこかで、理不尽な、正しくないことをしていたためでしょうか)
そのため、知ろうと思っても知ることができないでいました。
今回のカタログでは、パタゴニアのボードとショーツ、ビキニ製品のすべてがフェアトレード認証製品になったようです。
またホームページをみると、かなりの数の布製品がその認証を受けており、積極的にこの事業をパタゴニアが推進しているのが、よくわかります。
販売から生産までの公平な取引価格の設定というのは、その業界が長く業務を続けていくためには、必要不可欠な事柄です。
スリランカの工場を見学したデイヴは
「社会の片隅にたびたび追いやられるこのような人たちに対して、同じ人間という家族として、価値、認識、尊敬という念を示し、不当な扱いの現実を打ち破るのがフェアトレードだ」
としています。
道具や装備は血の通っていない機械が、何も考えずに、自動的に作っているわけではなく、同じ家族を持ち、お酒を飲んだり、歌を歌ったり、笑って泣くような、そんな誰かが作った製品なのです。
そして、そんな製品を持って、自分たちは山へ向かっています。
生産から販売まで、脈々と書かれてきた物語の最後のピースを、自分たちが受け取り、そして今度は自分たちが続けて書いていくことになります。
そんな風に考えると、使い捨てが至上のようであった一昔前の消費社会が、うそのように感じられます。
最後に
本音を話しますと、やはり登山の製品は値段が高いです。
しかし、山岳の製品の値が高いのは、その機能性に対する開発費もそうですが、裏打ちされた技術の高い製造過程のためであることは今回の記事でよくわかりました。
まだまだこの業界もほかの業界も、末端までの製造の流れを公開することは、今までの保守的な考えからすれば、メリットは少ないことかもしれません。
しかし、これからは、隠すことがデメリットになるような時代になると思います。
このような考え方が、少しでもビジネスとして確立されることができ、そして登山という文化の継承の一助になることができると、大変うれしいですよね。
以上です。
参考:(http://www.patagonia.jp/fair-trade-certified.html:patagoniaフェアトレード・サーティファイド)
参考:フェアトレードジャパン
http://www.fairtrade-jp.org/