クライミングロープの種類を説明します
登山用のロープというと「クライミングロープ」をイメージすることが多いですが、一般の縦走(稜線歩きなど)ではそこまでは必要ないことが多いです
ボクの場合、低山ハイクやクライミング要素が少ないバックカントリースキーでは、「ファイントラックのゴージュバッグ」を使うことが多いです
この手のロープは「お助けロープ」と呼ばれていて、ちょっとしたところで後続者を助けるときや、セルフビレイ(高いところで自分のカラダを確保すること)サッと出してサッとしまえる手回しの良さが良い感じで、クライミングロープより使うときもあります
初めてロープを使うには一番使い勝手がいいのかなと思います(何か目的があってほしい場合は別です)
あとテープスリングも使い方を覚えると便利で、セルフレスキューにもつかえたりします
==目次==
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登山ロープワークや結び方

クライミングロープ 種類|登山のロープというと「クライミングロープ」
登山ロープの種類で登攀用というと「クライミングロープ」をまず考えると思います
クライミングロープというと、その名のとおり岩などを直登するときに命綱として登山につかうロープです

クライミングロープとは他のロープと何が違うかというと、
- 伸縮する
- 安全規格を満たしている
大きくはこの2つです
伸縮する
クライミングロープの一番の特長がこれです。
墜落しても伸びて衝撃を「びよーん」と吸収してくれるので、クライミングに使えるというわけです
この伸びがないと、切れることがなくても人間の体にダメージが大きくなってしまい、墜落と同じダメージがカラダに影響してしまうので、墜落するかもしれない場所では、とても重要な機能です
安全規格を満たしている
この安全規格もとても大切です
各規格すべて項目がそろっているわけではないので、簡単に比べることは難しいです
ボクが確認するだけで
- PSCマーク(独立行政法人製品評価技術基盤機構(通称NITE)の製品試験)
- UIAA安全規格(国際山岳連盟)(英語のサイトです)
- EN規格(European Norm(ヨーロッパ規格))
参考に安全規格の墜落回数の基準だけ見てみると、5回以上墜落させてもある程度の機能を保持してくれるヨーロッパ規格やUIAA規格が優秀のようです
▼UIAA規格の場合はCEのマークがはいっています
(UIAA規格にあるか、こちらから検索できます(英語です))
EN規格はこちらのALTELIAさんの資料が参考になります(EN規格資料)
日本にもPSCマーク規格(消費生活用製品安全法)がありますが、墜落回数だけみると2回以上をラインにしているので、ヨーロッパ規格等をクリアできれば十分かもしれません
クライミング ロープはホームセンターには売っていません
ボクが確認する限りでは、カインズホームなどのホームセンターにはクライミングロープは販売されていません
もしかしたらどこかにはあるかもしれませんが、クライミングボードが併設されているようなホームセンターならあるかもですが、ボクは知りませんね・・・
聞かれたことがあったので書いてみました
登山ロープに使う アルパイン クライミング グローブ
アルパインクライミングで使うグローブを紹介します
アルパインクライミングとは、一般的にロープを使った登攀技術が必要な山行(冬季登攀を指すことが多い)のことをいいます
Have An Ice Day – アイスな1日を:パタゴニア
(出典:YouTube)
登るルートは岩稜だったりアイスクライミングだったりしますが、登山の中では一番技術が必要な登り方です
冬季の場合は、防寒対策がしっかりしていて、かつ指が動かしやすい手袋を使います
例えばアイスクライミングなどでは「ブラックダイヤモンド(Black Diamond) ソロイスト」なんかがおすすめ

ロープの操作性重視の場合は「アーク」も良いです

夏季のクライミングのときは基本素手です
ビレイヤー(登る人を補助する人のこと)は登る人が落ちるとロープを支えなくてはいけないので、ビレイ用手袋を使うことがありますが、基本は素手が多いです
よくスポーツクライミングジムなどでビレイヤー用手袋をつかっているのを見ますね

ボクのようなへっぽこクライミングではこんなしっかりとした手袋はつけません
ほぼ素手ですね
特にボクは沢登りが多いので、濡れた軍手の場合がほとんど
▼薄手の軍手が乾きやすいです また山ではゴムの滑り止めは使いません 焚き火のときも燃えてしまうので、ないほうがいいですね(ボクの場合です)
まあ、沢登りはアルパインクライミングではありませんが・・・
クライミングロープ 種類|トラロープは登山で使えるの?
トラロープは登山の個人ロープではおすすめできません
例えば工事現場などでよく使われる「12mmのトラロープ」、1.12t(引張り強度)で安全率10(人間の場合なので)なので、これは割り算をすると112kgの人間を支えることができるということです
(参考:ロープ本舗)
でも12㎜のトラロープは重く、計算すると100mの場合は約15㎏(15000g)なので、15mに直すと150g×15mで2250g(2kg以上)という重さは現実的ではありません

ボクがおすすめしているファイントラックのゴージュバッグ15mは破断強度が「1.1t」
安全率10で割ると、110kgの人を支えることができます
そして、極めつけは「重さが357g!」
12mmのトラロープと比べると重さは6倍の差があって比較にならないほどです
径も12㎜のトラロープに対して、ゴージュバッグは6㎜なので扱いもとてもラク

[補足]
トラロープは登山道によく通行止めや立ち入り禁止部分でよくみます
ほかにも登りの補助ロープのような感じで設置してあるところもあります
登山道付近でトラロープをみることが多いですが、強度はあまり信頼しないほうがいいです
素材のポリエチレンは紫外線に弱いので、劣化が激しく、設置してあっても利用するのは避けた方がいいです
クライミングロープ 種類|登山のスタティックロープとは
登山で使われるスタティックロープというのは、「伸びがほとんどないロープ」のことです

どんなところで使うかと言うと、登攀(手を使って登ること)が必要なところに「固定設置」して使う場合が多いです
例えば仕事で木登りをするところや、仕事で何度も通過する険しい場所、レスキュー現場でも使うことが多いです
有名なところでは、エベレストの頂上に向かうラインにフィックス(固定)して使っていた・・ような気がしました(確かナショナルジオグラフィックで見たのですが、バックナンバー資料が見つかりませんでした・・)
伸びがないので、墜落に対するクッションはありません
でも丈夫で、確実性が必要な現場によく使われます
こちら「消防庁のロープワーク救助の検討会資料」(タップするとリンクされます)
見るととても参考になります
消防庁の資料を見ると、確実性の高い登攀方法が書いてあります
でも実際登山でもこのような使い方が一番いいのですが、登山ではすばやく進むことも危険回避に有効な場合があります
確実性よりスピードを選ぶときがあるんですが、(軽量のロープを使ったり)基準があるわけではないのでこのあたりは自己責任ですね・・
クライミングロープ 種類|細引き(パワーロープ)とは
細引きとは諸説ありますが、7mm以下の補助ロープのことで、アクセサリーロープとも言われています

伸縮はあまりせず、スリングなどの補助ロープとして登山ではよく使われるロープです
こちらの「NARUKAWA」さんのサイト>>でその強度や重量が参考になります
もちろんクライミングロープとしてはつかえません
クライミングに使えませんが、スリングなどの支点に使うことや、ツェルトなどのロープ(張り綱)などに使うことがあります
ペツルライトの日本代理店の「Alteria(アルテリア)」のサイト>>を見ると
直径 7 mm は支点の強化等に使用可能
直径 6 mm はプルージック等のフリクションヒッチに使用可能
直径 4 mm および 5 mm はアクセサリーとして使用可能
(Alteria(アルテリア)
と書いてあります
こちらのベアールの取扱説明書>>をみると、パワーロープの詳しい取扱方が書いてあるのでおすすめです
~抜粋~
アクセサリーコードは登山、 ロッククライミング、ケイビング、高所作業の補助的な用途にのみ使用して下さい。
クライミングロープや安全確保用ロープとして使用しないで下さい。
ダイニーマアクセサリーコードは摩擦が非常に少ない特性があり、外被のズレを引き起こす可能性があります。懸垂下降時には使用しないで下さい。
スリングやループを自作する場合は、ダブルフィッシャーマンズノットの利用をお勧めします。ただし、ダイニーマコードでは、トリプルフィッシャーマンズノットを利用して下さい。
プルージック結びで使用する場合は、7mmまたは5.5mm(ダイニーマ)をお勧めします。
融点が低いため、5mmダイニーマコードのプルージック結びでの使用、および懸垂下降のセカンドラインとしての使用は絶対にしないで下さい。
(ベアールパワーロープ取扱説明書)
細引きのまとめ方(登山ロープの使い方)
ボクの細引きのまとめ方は、ファイントラック社のゴージュバッグのように小さい袋にごちゃごちゃ入れてます
先端をわかり安いところにかけておくと、入れやすいし出しやすいので、あまり束ねたりしていません
きれいにまとめたい人はこちらの動画を参考にしてください
〔ひもの結び方〕コンパクトにきれいにまとめて収納できる!棒結び ロープワーク 〔生活に役立つ!〕
(出典:YouTube)
かなり丁寧に、そしてゆっくり解説してくれているので、とてもわかり安いです
この縛り方は登山だけでなく、生活のいろいろなところで活用できそうです
難点は、ちょっと手間がかかりそうなきがすることですか・・・
動画は教えるためにゆっくりやっていますが、やり方によっては早くできそうな気もします
どこかで見たような気がするこの縛り方
ボクの記憶では、「銭形平次」という番組で、下手人を縛るヒモをこんな結び方にしていたような気がしました(余談でした)
クライミング ロープ 束ね方 BCマウンテンスクール ロープワーク教室
バックカントリー穂高登山さんのロープワーク教室です
出典:YouTube
ロープのまとめ方は振り分け式とリング式がありますが、穂高さんは振り分け式です
リング式の方がすばやくまとめやすいですが、出したときに絡まりにくいのは振り分け式
雑なボクの場合はどちらでも絡まってしまうので、いまは素早いリング式がほとんどです
ボクは結び方やロープのさばき方はこちらの「イラスト・クライミング」を参考にしています
わかり安いので参考にどうぞ
クライミングロープ 種類|パラコードとは
最近よく言われている「パラコード」

スノーシュー「MSR」の販売元でもある「モチヅキさん」のサイトを見ると、
元々パラシュートのロープとして使われていたパラコード。引っ張り強度と柔軟性が高く、軽いのが特徴です。またナイロン製なので水に濡れても乾きやすく、強度を維持します。
(モチヅキ)
と書いてあります
より詳しくかいてあるのがレプマートさんのサイト>>
こっちもかなり詳しい
通常のパラコードは破断強度が250kgくらいで最小伸び率が30%と書いてあるので、そんなとこみると基本的には、クライミングロープとスタティックロープの中間的なロープみたいです
(ヨーロッパ規格のEN:ダイナミックロープに関するヨーロッパ規格では伸び率動荷重で40%以下)
一般的によく紹介されているパラコードというのは、細引きのような感じで紹介されているものがほとんどのようです
パラコードはカインズ(ホームセンター)で売ってるのか?登山の細引きロープとして使いたい
パラコードがカインズというホームセンターで販売されていると聞いたので、探してみました
カインズは普通のホームセンターですが、確かにヒモ系の品揃えは多いです
ボクが探す限りでは、「コレ!」というアイテムはありませんが、近いアイテムはありました
▼パイレンカラーロープ

こちらはポリプロピレンの細いロープ
大体3mmの10mです
テントやタープの張り綱で使えると書いてありました
もう一つはパラ型アラミド繊維を使用したポリカーボネートのヒモ
ワイヤーにも勝る引っ張り強度が売りですが、残念ながらもう少し長いアイテムがありませんでした
これで延長があるアイテムがあれば、結構使えると思いますが、作ってくれないでしょうか・・
クライミングロープ 種類|スリングを登山に持っていくときは120㎝もほしいかも
スリングとは登山に使われる「捨て縄」と呼ばれる短い輪っか状のヒモのことです
ロープワークの支点などに使われることが多く、場合によってはそのまま現地に放置する場合があるためそう呼ばています(残置はよくありませんが・・)
ボクの場合は60㎝から80㎝のスリングを普通の沢登りのときは5本くらい、山スキーのときは3本くらいもっていきます
伸び縮みが必要ないので、パワーロープを切り売りで買って、そして自分で作ればかなり安上がり
でも初心者の人はやめておいた方がいいです
できれば販売している「テープスリング」がおすすめ
なぜかというとダブルフィッシャーマンと言う固い縛り方をしても、上手にやらなければ加重がかかったとき抜ける場合があるからです
▼60㎝のテープスリング
また、ボクの場合は80㎝程度のスリングを持っていくことが多いですが、大人数の山行や、初心者がいるようなパーティの場合、レスキューなどを考えると「120㎝」のスリングがあるととても役に立ちます
登山ランナー(登山のスリングでテープタイプのもの)の使い方
登山ランナー(スリング)の使い方をまとめてみました
余談ですが、最近はスリングのこと「ランナー」っていうんですね・・
ブラックダイヤモンドのスリングも最近「ランナー」って言ってます・・前はそんな感じに明記されていなかったような気がしますが・・気のせいだったかも・・
▼ブラックダイヤモンド 10mmダイネックスランナー

ボクは「スリング」ですが、先輩方の中には「シュリンゲ」と言っているひとや、懸垂下降(ザイル 降下すること)のときには「捨て縄」って言ったりします
時代を感じる一コマです
プロから学ぶ ロープスリングの使い方 【国際山岳ガイド近藤謙司】 登山教室 Back-Country穂高
登山ランナーの使い方として、バックカントリー穂高さんの動画を紹介します
(YouTube)
講師の「近藤謙司」さんは、エベレスト登山の第一人者で、あの「なすび」くんのエベレスト登頂もフォロー、ボクの大好きなガイドさんのひとりです
スリングのイメージがあまりよくわからない人にとって、最初自分はどれを選んだら良いかがよくわかると思います
スリングの価格に関するイメージも作った方が安いけど、こういうメリットやデメリットがあるよ・・とかとてもわかりやすく教えてくれています
スリングの長さを調整しながらクライミングする方法や、細引き 結び方など
初心者も経験者も「あっなるほど・・」という内容が必ずあると思います
かなり丁寧に説明していて、5分以上の動画でちょっと長いんですが、とてもおすすめです
スリング ハーネスの作り方(登山のセルフレスキューロープとして便利)
簡易ハーネスをスリングスリングで作る時があります
ハーネスを忘れたり(あまりそんなことはありませんが)、ハーネスが切れてしまったりしたときに作ります
とても簡単なので覚えておくと便利です
こちらの、「日本山岳会東京多摩支部|安全登山講習会(ロープワーク)」のページがとても参考になりますね
簡易ハーネス2
こちらは簡易ハーネスを作っている動画です
(YouTube)
とてもシンプルでやり方もとても簡単です
こちらの動画では120㎝のテープスリングを使っています
120㎝や150㎝のスリングをあまり持って行かないひともいますが、持っていった方がいいですね
登山 スリングで「おんぶ」をする方法
登山ではスリングを使って救助者をおんぶしなければならないこともあります
滅多にありませんが、やり方は覚えておくと便利です
「ghstaff1さんのブログ」がとてもわかり安いです
寝かせた要救助者にスリングをかけて背負っています
ここでも120㎝のテープスリングを使っています
120㎝というと太い木の胴回りに支点を取るときによく使うスリングです
これはとても簡単な方法ですが、背負っている人の肩にスリングが食いこんで負担が大きくなるデメリットもあります
タオルをかませたりするのが常道のようです
スリングを利用した搬送トレーニング i-nac国際自然環境アウトドア専門学校
次はスリングを何本も使ったやり方です
こちらの場合は肩に食い込みことは少ないです
(YouTube)
ただこのやり方は、スリングを5~6本つかっていますが、大規模なクライミングでない限り、こんなに持っていくことはありません
近くのパーティが複数集まって、要救助者を助けるときにこんなやり方もあるようです
モンベル アクセサリーロープ紹介(登山ロープでお助けに使える)
人気のモンベルアクセサリーロープです

商品情報
「スローロープ」や「ガイドロープ」に用いたロープと同素材のロープです。破断強度が約1トンあり、伸び率は約13%です。
1m単位の使いやすい長さでお求めいただけます。仕様
【重量】35g/m
【カラー】イエロー(YL)
【サイズ】9mm
【破断強度】9kN
【伸び率】13%(モンベル)
これも「お助けロープ」的な使い方がおすすめ
9mmだけでなく8.5mm径や11mm径もあります
よりお助けロープとして使い安いセットが
▼コンパクトスローロープ15 です

ファイントラックのゴージュバッグ15みたいな感じで使えます
これは8.5mm径なので、破断強度は5.9kN=0.6tです
人間に使う場合は、0.6t/10(係数)=0.06t=60kgの人に使うのが一般的ということ
ゴージュバッグは110kgの加重に耐えられるということなので、耐荷重はモンベルのほうが劣ります
でも価格が半分くらい(モンベルは5,500円+税)なので悩むところです