「沢登り」初心者の安全な始め方を紹介
沢登りは人気のアクティビティで、講習やツアーも多いです
ボクの場合は、最初は単独で沢に入っていて、その後沢登り初心者向けの講習を受け、それから本格的にはじめました
ここではボクの経験をもとに沢登り初心者が安全に始めるにはどうしたらよいかを紹介します
==▼目次==
沢はまず足回り重要!!

沢登りとは?
沢登り初心者に「沢登り」をわかりやすくいうと、
「山の渓流を下流から上流に登る、登山の一種」で、一般の登山道を使った縦走のように、ある程度管理されている登山道を使わないで、道なき道をすすみ、そして山頂に向かう行為です

登山道も使うときはあります
それは、どうしても越えられない滝がある場合や、下りで登山道を使ったほうが、危険が少ない場合や、時間の調整が必要な場合に使われます
しかし、基本的には登りでは「水線」といって、渓流の中や、そのすぐ脇に沿って登ります
同じようなスポーツでキャニオニングというアクティビティがありますが、これは沢の中を「下る」ことをメインにするスポーツ
「降りる」と「登る」の違いだけですが、まったく違います
似たような行為で、同じような装備でも、一つ一つの道具の重要度や、考え方が違い、アクティビティとしては分けて考えられています
沢登りの装備
まず沢登りの装備は「沢靴」。 沢靴は専用のいいものをそろえてください
プラス「ヘルメット」。
この二つは最重要装備です
ぶっちゃけそれ以外の装備は普通の登山の使い回しでもなんとかOKなので、まずはこの2つは自前で揃えるのが一番最初にやることです
次に大事なのは「化繊のアンダーウェア」。 乾きやすさ重視で濡れることが前提の沢登りにはかなり重要(コットンは×) 次は「防水袋」。 ザックを水に入れなければ市販のナイロン袋でもオケですが、できればモンベルの防水袋などはあったほうがいいです。
登攀用具も重要です。 「ハーネス」「エイトカン」「スリング」も必要。 これらは最初は先輩とかに借りてもいいですが、できれば自分で買うようにしたいです
▼詳しい持ち物リストはこちら

沢登り装備の使い方|ロープ・ギアなど
ここでは「必要最小限の技術」を紹介します
装備の項目でもいいましたが、沢登りは、「縦走の技術」と「ロッククライミングの技術」と「沢特有の技術」が必要です
特有の技術としては、沢の水の中を歩く技術や、岩についたコケの処理の技術が重要になってきます
これ以外にも覚えるべきたくさんの技術がありますので、先輩に聞いたり、本をみたりして知識を蓄えていってください
安全に必須!!ロープの結びかた|沢登り初心者
ここでは沢登りでよく使われるロープの結び方を紹介します
シンプルでも確実に覚えたいです
ヘトヘトに疲れても、確実に結べるように、テレビを見ながらずっと練習するといいですね
8の字結び|エイトノット
用途は広く、ハーネスとロープを縛るとき、いろいろな状況でカラビナにロープをかけるときなどで使います
しっかりキレイに結び目を作ると、荷重を強くかけてもロープが抜けません
プルージック結び
登高器の代用、細いブッシュに支点をとるとき、テントの張り綱など、これも用途は広いので、覚えておくと便利です
片手簡単にできて緩め(ゆるめ)れば移動可能で、引くと締まり(しまり)ます
かなり使えるので、反復練習が重要
マスト結び(インクノット)
簡単に結べて、荷重を抜けば簡単に外れるので、カラビナにセットときに便利です
よく使うのは、滝を登った後、後続をロープで引き上げる時の支点づくりのとき
荷重を抜くと、ロープの長さが調整できるので便利です
半マスト結び(ムンター)
懸垂下降で下降器がないときによく使います
あまり使いすぎると、ロープが傷む(いたむ)ので注意です
ロープ同士を結ぶ(8の字結び)
ロープ同士を結ぶときには、いろいろな結び方がありますが、これが一番確実と思っています
でも結び方は慣れるまでちょっと面倒
スリング作成(ダブルフィッシャーマン)
最近は既製品をつかって、あまり自作はしませんが、スリング作成など、ロープとロープを結ぶ際に使用します
これも慣れないとちょっと面倒
スリングの自作は、結び目をキレイに仕上げないと、抜ける恐れがあるので、作るときは要注意です
ハーケンの使い方
リス(岩の割れ目)にハーケンを打って、それを支点としてカラビナとロープをセットします
ハーケンを打つ場合は「鳴かせる」といって、ハンマーを打つと、「キーン」と高い音がなるまで打つことが基本です
しかし、ハーケンを確実に打てるところは限られていて、これは経験しないとものにすることは難しいです(確実にきめることができなければ、1つだけでなく、2・3つくらいハーケンを打つようにする)
何より、いろいろなシュチュエーションを経験して、練習することがとても大切
やっぱり熟練者と自分と比べると、作業のスピードが違います
登攀の技術の基本|懸垂下降・歩き方
登攀は「3点支持」が基本
必ず、2点(手足4本の2点)が壁に接していることが基本です
出典:ヤマケイオンライン
懸垂下降
懸垂下降は理論的にわかっても、なかなか実践では簡単にはいかないと思います
最初はなるべく経験者と練習をしてから本番にいどんでください
経験者がいない場合、傾斜の緩い場所で練習するといいと思います
ひとつ間違うと大けがにつながるので、注意して練習が必要
出典:ヤフー知恵袋
沢の中の歩き方
沢を歩く場合は、まず思ったよりかなり重く歩きづらいことを念頭にいれなければなりません
ひざくらいの水量だと、かなり身動きがとれなくなります
最初はゆっくり慣れることが大切です
徐々に慣れてくればどのくらいが危なくて、どのくらいまで問題ないかがよくわかりますので、最初はゆっくりなれてください
沢登りと焚き火
沢登りで宿泊するときは、寒さを軽減したり食事をしたりするために焚き火をすることがあります
大抵の場所(沢登りの焚き火をしたくなる場所)は国立公園に指定されているような場所で、国の土地だったり個人の土地だったりします
そこで焚き火を目的とする場合は、管理している人に許可をもらわなくてはなりません
詳しくは神奈川県の記事がわかりやすいので、参考にどうぞ
▼神奈川県「焚き火、テント、バーベキューについて」

ここに書いてあるとおり管理している人とお話ができない場合は、原則的には焚き火はできないことが多いですが、場所によっては学術的な理由や緊急時などはやむを得ないということになっているようです
沢登りでの焚き火はこの命を守るための緊急的な理由に該当するということで焚き火をすることが多いです
ですが、火事になったり景観を損ねるようなことになってしまうことがあるので、そんなときでも必要最小限にとどめるよう努める必要があります
いろいろ難しいことを書きましたが、緊急的な焚き火でも迷惑をかけないように細心の注意が必要というわけです
なお詳しい山での焚き火の仕方はこちらの記事をごらんください↓

沢登りは講習会・山岳会・ツアーから始めると安全
沢登りは大変危険で困難な行為で、場合によっては大けがや死亡するようなこともあります
そして、登山の初心者が何も分からないまま始めるにはちょっと危険なことが多いです
沢登りは、縦走などの登山とは違うので、縦走の経験があるというだけでは、安全ではないと思います
普通は登山初心者に簡単にオススメするようなスポーツではないのですが、やり方によっては、初心者でも楽しく、ワイルドなこの沢登りを体験することができます
キーワードは「安全」
登山は楽しいですが、その安全は確実には約束されません
それでも初心者が、このワクワクするような体験をするには、いくつかの方法があります
- 地元の山岳会に入会する
- ツアーでガイドと一緒に沢にはいる
- 沢登りの講習・教室に参加する
1つ目はツアーガイドと一緒に沢登りをすること
ツアーで沢登りをすることは、費用を払っているということもあって、一番安全に始める方法だと思います
2つ目は沢登りの講習を受けてみることです
登山のメーカーや各種教室で開催している沢登り講習を受けることも近道の一つです
3つ目は沢登りをやっている地元山岳会に入会することです
コスパを考えると山岳会はかなりおすすめ
会費自体も安いですが、運が良ければ沢登り道具のおさがりがもらえたりします
また沢登りのパートナー探しもとてもラクになります
地元の山岳会に入会する|沢登り初心者におすすめ
山岳会に入ることは一番の近道です
経験豊富な先輩方や、また団体の講習会などに参加できるので、上達が早くできます
また装備も先輩の中古品をいただけたりすることがあり、メリットは大きいです
しかし、「団体行動が基本」ですから、それが面倒な人は無理をしないほうが、お互いのためだと思います
また、どこの山岳会もそうですが、あまり活発でない山岳会の場合、若い方が入って来ると、事務局などの仕事を預けられることがあります
これはちょっと注意
しかし、都内などの「人数も多く」「活発に活動」をしているところは、新しく来た人にすぐ事務局を預けるところはまずないと思います
山岳会を選ぶとき、そのあたりを指標(しひょう)にしてみてください
山岳会やサークルに入って、教えてもらう方法は、初心者に一番のおすすめなので、検討ください
▽こちら東京近辺の山岳会が検索できます
ツアーでガイドと一緒に沢にはいる|沢登り初心者おすすめ
ツアーガイドに依頼すれば、沢の「歩き方」や「装備」などを細かく、本人に合うようにアドバイスをもらえるので、お金はかかりますが、これも間違いないオススメです
また、ガイドによって「全くの初心者は断われてしまうこともあります」ので、確認が必要です
それだけ、沢は危ないということですね
ガイドは、お金はかかりますが、何度か一緒に山に行くようになれば、レベルにあった的確なアドバイスももらえるので、上達の近道になります
「参考」
こちらに沢登り初心者へ個人的にオススメの「ツアーガイド事務所」のリンクをつけておきますので、参考にしてください
季刊「渓流」でも人気の豊野さんのHP
渓のポパイ豊野則夫の山岳ガイド事務所
沢以外にも、いろいろなガイドをやっている島田さんのHPです
島田ガイド事務所
沢登り講習・教室に参加する
集団行動になじめないかたや、単独が好きなかたは、山岳会などにはいるのは抵抗があると思います(自分もソロ大好きです)
お近くの山岳系の団体や、登山雑誌、メーカーなどで、部外の人を対象とした講習会を開催していることがあるので、利用してみるといいです
また、講習会のレベルもいろいろあるので、山岳会などの事務局に確認をし、レベルの高さが、「初級」なのか「中級」「上級」なのかを確認することが必要
いまは、いろいろな講習会がありますので、1つだけでなく、いくつか見て検討するといいと思います
「参考」
神奈川県山岳連盟 登山教室(沢登り、岩登り、縦走)
広域社団法人 東京都山岳連盟 沢登り教室
沢登り入門にはこの本
沢登りはまだマイナーなスポーツ
ですが、徐々に初心者の本やガイドも増えてきているようです
ここからは、初心者用にオススメで、とてもためになる本を紹介します
「沢登り (ヤマケイ・テクニカルブック 登山技術全書)」
これは王道中の王道
自分もこれで勉強しました
しかし、技術全書とは書いてありますが、やや大味な内容となっています
こういう技術もあるのだと確認する上では初心者には「良書」だと思います
これをみて後は現場で実践あるのみ
「沢登り (ヤマケイ入門&ガイド)」
これはハウツーとガイドの両方が入っており、とてもお得な本
著者は「手嶋亨さん」
沢登りと山スキーで有名な「童人トマの風」という山岳会の会長であった方で、ある雑誌を拝見すると、「テジちゃん」のあだ名で親しまれていたようです
手嶋さんが好きなので、この本も紹介しました
童人トマの風の山行と同じように、とてもバラエティに富んだ内容で、手軽な沢からステップアップが必要な沢まで楽しく読み進めることができます
「沢登りはじめました 基礎から楽しみ方、おすすめコースガイドまで」
著:増田 美和、監修:深瀬 信夫
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女性目線での沢登りのハウツーです
監修は「東京マタギ」で有名、日本で最初の沢登り専門のガイド深瀬信夫さん
とても有名なかたで、ナイフも作っています
これもハウツーとガイドの両方が入っています
初心者であった筆者が、座学から段階を踏んで沢登りにのめり込んでいく内容になっています
徐々に沢登りの知識を蓄えて行き、いよいよ沢に行く!という感覚は、見ていてとてもわくわくする書き方になっていて、やる気がわいてきます
「外道クライマー」
宮城 公博 著
これは 【レビュー】沢登りの本「外道クライマー」|セクシー登山部 宮城公博を知るをみてもらうとうれしいです
この本は少しクセがあってこれを見ると沢登りがとても好きになるか、それともちょっと引くかのどちらかだと思います
読み物としては、大変楽しい
滝あり、大河あり、警察ありの人間模様ノンフィクションで、飽きることはありません
なるべく好きになって、これで沢登りのモチベーションをこれで上げてください
沢登りの初級コース(東京近郊)
初級コースと言っても初心者同士で行くのはおすすめできません。 なるべく経験者といっしょに行ってください
(参考:ヤマケイ 沢登り「首都圏の沢」)
丹沢付近
水無川付近
その他
奥多摩付近
奥多摩付近の初級沢登りはこちら(地理院地図やヤマレコさんへリンクしてます)
日原川
秋川