3シーズンシュラフのコンパクトな寝袋の選び方とシーズン別を紹介します
「登山はぐっすり眠れたら成功」とプロが話すほど、登山において「眠る」ということはとても重要
厳しい自然の中で安眠(あんみん)を助けてくれるのがシュラフですが、その選び方は人によってまちまち
今回は、そんな登山用シュラフの選び方について、徹底的に解説します!
[登山シュラフの3シーズン+α]==▼目次==
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3シーズン シュラフ|登山初心者が選ぶべきコスパな寝袋は?
これから登山を始めるという方にとっては、やはり「安心して眠れる環境」を作ることが大切です
そのため、とにかく室内で眠るのと変わらないレベルの寝心地(ねごこち)がほしいです
まず選ぶときはそんな寝袋を選ぶことが大切です
基本となるのは「封筒型」のシュラフ
登山初心者の人であれば、キャンプの延長のような感覚で登山をイメージしている人が多いと思います
そのような場合は、泊まる場所はそれほど危険ではないケースが多いと思うので、まずは「寝心地を重視」したほうがいいですね
具体的には、布団やベッドと同様の睡眠姿勢を保ちやすい「封筒型」のシュラフを選ぶと無理がありません
封筒型のシュラフは「レクタングラー型」とも呼ばれ、通気性があって寝返りも打ちやすいというメリットを持っています
▼封筒型で安くてオススメはこの「AUGYMER シュラフ」ですね

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寝返りが打てるかどうかは、寝心地がぜんぜん違います
ファスナーを全開にしてブランケットとしても使うこともできるため、コーヒーを片手に肩から暖まりたいときにも重宝(ちょうほう)します
ファスナーで連結してブランケットのように使えるモデルもあるため、ファミリーやグループで使うのにも適しています
また、登山に行く途中の車中泊(しゃちゅうはく)にも向いています
人によっては、「車中泊用のシュラフ」と「登山用のシュラフ」を二つ持っていく人もいるくらい、寝ることは最新の注意がほしいですね
2つ以上持っていきたくない人には、「ストレッチ性が高いマミー型」がおすすめ
ちょっと高価なものが多いですが、ストレッチが効いているので、寝返りもストレスなくできます
リュックの重量が気になる場合は、封筒型より軽量なのでこちらを選ぶのもいいかもしれません
▼モンベルのストレッチが効いた「マミー型シュラフ」 高いです・・・
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中綿を選ぶ!「羽毛・化繊」は性格で決める
まず自分の性格を考えて、丁寧(ていねい)で細かい人は「羽毛」がいいです
そして大雑把(おおざっぱ)で細かいことを気にしない人は「化繊」がいいですね
その理由は下記で説明します
まずは寝袋の中綿(なかわた)種類についてです
使われるものは、大きく分けて下記の2種類があります
- 化学繊維
- 羽毛
羽毛は保温性が抜群(ばつぐん)ですが、水濡れ(みずぬれ)に弱く、一度濡れてしまうと一気に保温性が失われていきますから、シュラフだけでは寒さをガードできません
その登山中は乾かないと思った方がいいです
また、連続して使うことで保温性が薄れるというデメリットもあります(高価なものはその限りではないです)
化学繊維(かがくせんい)のシュラフは濡れ(ぬれ)に強く、濡れてもそれなりにあたたかいです
ですが、乾いているときの保温性は「羽毛」にやや負けます
また、重さやコンパクト性も羽毛にやや負けてしまいます
価格は化繊(かせん)が安いので、初心者は迷ってしまうと思いますね
ここで性格が選ぶポイントになります
「羽毛」は濡れる(ぬれる)とほぼ終わり
そこからは、寒い夜を過ごさなければなりません
そのためにとにかく絶対濡らしてはダメです
よって性格が細くて(こまかくて)、濡れに十分注意が払える人が有利です
「化繊」はちょっとくらい濡れてもあたたかさはあまり変わりません
濡れは水だけでなく汗や湿気も関係してきます
寝るときに水をまちがってこぼしたりしては絶対ダメ
自分の性格がちょっと雑(ざつ)だな・・・と思ったなら、「化繊」の中綿がおすすめですね
普通の初級者の場合を書きましたが、これが中級者・上級者、そして、「初めてでもガチでやりたい人」になるとなるべく軽くしたいので、軽い羽毛を使う場合が多いです
ですが、一般的な初心者にとっては、まず「普段と同じような寝心地」が重要なので、封筒型で、中綿を化繊がオススメ
多少重くて、保温性は羽毛より劣る(おとる)というデメリットはありますが、やっぱりどうしても「濡れが心配」
なので、化学繊維素材のものを選んでおいた方が無難(ぶなん)です
また、外で寝るということに慣れたほうがいいです
登山に行く前に庭などで練習すると感覚がわかるのでオススメですね
シュラフが対応している温度に注目しよう
実際にシュラフを選ぶ場合、どのような環境に適しているのかを判断するにあたって重要なのが「使用温度」の目安数値です
使用温度目安は、夏のキャンプ用であれば15℃だったりしますが、本格的な冬用であれば真反対の-15℃という数値になっているものもあります
ただ、この目安は現場での体感温度とは若干異なるため、一般的な買うときの目安としては
夏:5℃から10℃
春・秋:5℃から-5℃
冬:-5℃以下
を想定しておくと間違えません
メーカーによって「対応温度」の呼び名が違うこともありますので注意です
例えばモンベルでいうと「リミット温度=使用温度」、イスカでいうと「最低使用温度=使用温度」などがそれです
初心者であれば、概ね使用温度目安の最低温度が5℃になっているものを選んでおくと、春・夏・秋の3シーズンは使いこなせます
3シーズン シュラフ|いろいろな山に登ってみたい中級者が選ぶべき寝袋は?
初心者の場合は、シュラフを選ぶ際に「普段の寝心地」を最優先すべきであると言ってきました
しかし、登山を続けていると、いろいろな山に登ってみたいとだんだん思ってくるのも人情(にんじょう)
すると、今までの装備をよりコンパクトにして、生命の維持に必要なグッズをより多く揃えていく必要がでてきます
特に、軽さやコンパクト性も考えなくてはならないので、初心者の頃に比べるとシュラフについても選び方に変化が必要になってきます
シーズンに応じたシュラフを用意しておこう
中級者レベルであれば、雪山はおいておくとして、例えば北海道の山くらいを考えて見ます
2000mをこえるような高所や北海道など寒冷(かんれい)なところの場合、夏のオンシーズンあっても寒さ対策を想定した装備を用意しておく必要があります
2009年7月16日に起こった北海道のトムラウシ山での遭難では、悪天候になったことでツアーガイドを含む8名が低体温症で死亡しています
▼トムラウシの遭難事故について

前日の15日にツアー客は雨に当たってしまい、寝袋もずぶ濡れであったという証言もあり、十分な休息を取れなかったことも事故が起こった遠因と考えられます
そのため、日本国内であっても気候が異なることを理解して、環境に応じたシュラフを使い分けることを覚えなければなりません
自分がアタックする山の状況を事前にリサーチするのはもちろん、シーズンによってどのシュラフを使うのかを考えておきたいところです
形状はマミー型・内布は化学繊維で選び、環境によっては防水羽毛型
肝心のシュラフ選びですが、春や夏・秋を選ぶのであれば、暖かい地域で寒がりでなければ封筒型でも差し支えありません
しかし、万一のことを考え、保温性の高いマミー型を選ぶことをおすすめします
理由は、標高が高くなるにつれて気温は下がっていき、持って行ける装備も限られているからです
人間の身体が一度体温を失うと、再び体温を取り戻すのに時間がかかりますし、登山中に身体を暖めるには手段がかなり限られてきます
具体的には、焚火をするか、コンロでお湯を暖めるかなど、火を何らかの形で起こす必要性に迫られるケースが多いのです
封筒型のシュラフはどうしても隙間(すきま)が生まれやすく、肩から身体が冷えやすいデメリットがあります
その点、マミー型は人の身体の形に合わせて作られているために隙間ができにくく、寝る前に暖めた身体の熱が逃げにくいデザインとなっています
中綿については、初心者同様使い勝手の面から化学繊維をおすすめしますが、持ち物を増やすことを考えるとあまりかさばるシュラフは持ち歩きたくないはずです
そこで頼りになるのが防水羽毛型です
水濡れに強い防水の「化学繊維」が表面に、実際に身体を暖める中綿には「羽毛」が使われているモデルで、軽量化を図りつつ暖かいというシュラフになります
より暖かいものを選びたいのであれば混合型を選び、暖かすぎるとかえって汗をかいてしまうという方は化学繊維を選ぶのがいいですね
▼ナンガの表面が透湿防水で中綿が羽毛のオーロラ350DX
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意外と気にしない「ファスナーの位置」
初心者の場合、それほどリスクの高い環境の登山はまだ行わないと思われます
しかし、中級者ともなれば、何かが起こった時に対応が遅れるのは命取りになる場合もあります
チームを組んでいる場合は、初心者のケアに回ることも想定しておかなければなりません
そこで、シュラフの選び方のワンポイントとして、「ファスナーの位置」があります
特に、左利きの方は、利き手側にファスナーがあるかどうかで快適さが格段に変わります
これだけで、ストレスがかなり少なくなるので、試してほしいです
一般的なアウトドアショップで購入できるシュラフは、以下のような表記で確認できます
- 左側にあるもの:LZ(LeftZipper)
- 右側にあるもの:RZ(RightZipper)
▼左ジップはコチラ
![モンベル(mont-bell) 寝袋 バロウバッグ #3 バルサム 左ジップ [最低使用温度1度] 1121273 BASM L/ZIP](https://m.media-amazon.com/images/I/31tYPPNIIwL._SL500_.jpg)
▼右ジップはこちら
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デザインによっては、ジッパーが中央にあるセンタージッパー型のシュラフもありますから、楽に寝たいと考える方は使ってみるのもよいでしょう
すんなり寝袋から出られるようにしておけば、何かあっても安心です
3シーズン シュラフ|シビアな季節や環境でもアタックを考える上級者が選ぶべき寝袋は?
山の楽しさ以上に怖さが理解できるようになってきたら、上級者の仲間入りです
このレベルになると、「完全ソロでの登山」や「テント」を使わない登山に挑戦する人も増えてきます
そのような人がシュラフを選ぶ場合、どのような点に注意するか紹介します
登山の目的がハッキリしている
登山を計画する場合は、多くの人は山頂を目指して、そこから下山するというルートを考えます
しかし、上級者になると単純に山頂を目指すルートだけでなく、あえて人工物を遠ざけるルートを選んだり、渓流沿いに進んで川などで食料を調達するルート(沢登りとか)を考えたりします
そのため、シュラフを選ぶ場合に、水にぬれる可能性が高いことが考えられるなら、化学繊維のシュラフ、そして、天候にかかわらず気温が低い環境であれば体温保存に羽毛のシュラフを選びます
目的や気候に応じてシュラフを選べるのが、上級者ですよね
シュラフよりも「シュラフカバー」が大事になってくる
上級者になればなるほど、登山における「寒さ・冷え」への対策が重要になってくるので、よりシビアな環境で安眠するためには、細かいところもにも気を付ける必要があります
例えば、テント内の結露(けつろ)の水滴(すいてき)です
これでシュラフがぬれるのは「もってのほか」
ここで「シュラフカバー」の出番になります
▼ちょっと高価な「イスカ」のゴアテックスカバー

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暖かさをシュラフに期待するならば、中綿に「羽毛」がよくて、荷物としてもかさばらないため、上級者は「選ぶのは羽毛のみ」という人もいます
しかし、それだけだと不測の事態でシュラフが濡れる可能性があります
そこで、シュラフを覆う(おおう)シュラフカバーを使うことで、水滴からシュラフを完全ガード
また、シュラフカバーを使えば、シュラフとの間に暖かい空気の層ができることにより、体感的に+2℃ほどの暖かさが感じられます
シュラフカバーを選ぶ際の基準としては、主に以下のようなものが挙げられます
- 素材はゴアテックスなどの透湿防水
- 軽いもの
- コンパクトに収納できるもの
ゴアテックス製は防湿・透過の面で優れており、丈夫で長持ちする利点があるため、多くの登山家が愛用中ですね(ちょっと高いけど)
夏場はシュラフカバーだけで眠ることも
夏の暑い時期であれば、正直シュラフだと暑苦しく感じられることもあります
でも山で何もかけないで寝ると、さすがに一発で風邪をひくし、蚊(か)にも刺されますね
そのような場合でも、シュラフカバーはとっても助かる良品
極端な話、環境さえ整えばシュラフカバーだけで眠っても十分眠れるのです(遭難時にも便利なので、エマージェンシーとして持っている人もいます)
湿度を外に逃がしてくれるゴアテックス製のシュラフカバーなら、昆虫などから身を守りつつも保温してくれるので、かなりの便利品です
上級者は、シュラフ以上にシュラフカバーに気を遣うこともあります
3シーズン シュラフ|シュラフ8選|シーズン別寝袋紹介
参考に4シーズンを通してシュラフを選んでみました
価格も高いものから安いものまであります
価格の差は一般的に「重さ」です
「重ければ」キャンプや車中泊・ツーリング向きで、「軽ければ」登山向き
参考にしてください
イスカ(ISUKA) 寝袋 エア450X ショート
イスカの軽量ダウンシュラフ
「4月・10月」くらいの2000m級以下の登山テント泊にオススメ
スペックは最上級に近いので、価格も高価で気合いの入った人向けです
AUGYMER シュラフ
コスパが高い封筒型の防水シュラフ(中綿は化繊)
ちょっと重いので、何泊もする登山にはむいていませんが、「4月や10月」の1泊程度の登山や車中泊・キャンプでのテント泊に最適です
防水なので、外での「ごろ寝」にも対応できます
バイクやツーリングにもいいですね
モンベルダウンハガー800#5
「6月・9月」くらいの2000m以下のテント泊に最適のダウンシュラフ
軽くてストレッチも効いているので、ストレスはほとんどないです
キャプテンスタッグ 寝袋
Amazonで驚きの1,000円を切っている安い化繊シュラフ
15℃が使用温度なので、「7月・8月」のキャンプテント泊に最適です
夏でも山間部は夜が冷えるので、このくらいはほしいところです
ファイントラック ポリゴンネスト 3×2UL
「沢登り」などに使える夏の化繊シュラフ
水に濡れても暖く速乾で沢にぴったりです
10℃までOKで、「7月、8月」の2000m級の登山に向いていますが、軽量でコンパクトなので、ジャケットを着たり、インナーに使ったりすれば、春・秋でも使えます
個人的にとてもオススメ
ナンガ オーロラライト 350DX
-16℃までOKのかなり高価なシュラフ
「11月・3月」くらいの2000m級以下の登山テント泊にオススメです
防水ダウンシュラフなので、ちょっと雑に扱っても問題なく、シュラフカバーがいらないので、より「軽量化」が可能です
価格はちょっと高いですが、寒い時期にはオススメですね
コールマン(Coleman) マルチレイヤースリーピングバッグ
コールマンの比較的スペックの高い化繊の寝袋
-12℃までOKなので、「11月・3月」くらいのキャンプテント泊やツーリングにピッタリ
重量が5.5kgのマンモスサイズなので、登山には向きません
イスカ 寝袋 エア 810EX
厳冬期仕様の上級者用ダウンシュラフ
「12月・1月」の2000m級の登山に向いています
-25℃までOKなので、普通の初心者にはあまり関係ないかもしれませんが、冬山はこういう装備がほしいということです
3シーズン シュラフ|おわりに
以上、登山で使うシュラフの選び方について、初心者~上級者に分けて解説してきました
登山のレベルが上がるにつれて、シュラフが持つ意味や重要性などが異なります
自分が今どの位置にいるのかを理解したうえで、もっとも目的にかなったシュラフを選んでみてください