登山のステップアップでについてちょっと具体的に書いてみました
登山初心者が順番にレベルを上げていく方法で、首都圏の人で、全く登山をしたことがないレベルから、登山道のある縦走のテント泊ができるようになるまでを対象に書いています
各ステージでできるようにしたいことも書きましたので、参考にどうぞ
==▼目次==
▼登山初心者の計画の立て方

登山 ステップアップ術|その1)まずは高尾山
登山初心者のステップアップとして、首都圏で登山を始めるお手頃の山というとやっぱり「高尾山」
とりあえず近くて電話もつながりますから
高尾山にはいくつもコースがありますが、これからステップアップしていきたいとすれば、人が多くメジャーな1号路ではなく、「6号路」や「稲荷山コース」がおすすめ
人が多い1号路は、どうしても観光メインになってしまい、登山の雰囲気とは若干ことなります
そんなことから、まずは、稲荷山コースがおすすめ
この稲荷山コースは高尾山のメインの表通りで、一番登山道らしいコースです
登りも1時間半なので、ハイキングにはちょうど良いですね
▼稲荷山コースの地図はこちら
▼稲荷山コースと6号路コースの画像はこちらの山ガールネットさんがキレイ

稲荷山コースは中間の休憩ポイント「あづま屋」が撤去されて、トイレもありません
トイレは最初に済ませてから歩いてください。
高尾山の表参道「稲荷山コース」は若干ワイルドなコースなので、ちょっと苦手意識がある人は1号路からの3号路もおすすめです
3号路も比較的人が少ないコースで、静かに自然を楽しむにはうれしいコースです
観光では有名な首都圏の山ですが、登るからには景勝というよりは自然の花や昆虫、鳥を見てほしいと思います
ここでできるようにしたいこと
- まずは山の雰囲気に慣れる
- 2時間程度歩いてみる
- ハイキング装備を確認する
- 地図を見ながら歩いてみる
- 登山届を出してみる
ステップ1は、まず山の雰囲気に慣れ、舗装されていないところを歩くことに慣れることです
舗装されているところのように、ほとんどフラットな場所はほとんどありません
歩く地面には木の根や水を含んだ泥の地面、また草についた朝露などがあれば、防水されていないクツはすぐにぬれてしみ込んできてしまいます
そんな、山特有の雰囲気を肌で感じることで、次の登山でどう工夫すれば快適になるか、そんなことも考えるともっと登山が楽しくなるのでおすすめです
登山道を2時間以上歩いてみることや、準備したハイキング装備が自分にあっているかなどの確認も必要です
歩きながら要所で地図をみることも、とても大切です
地形図をコピーして磁北線を引き、コンパスをもって現在地を確認しながらすすんでください
ここではあまり慣れていない地形図に慣れるようにします
スマホのGPSは便利ですが、最初は紙の地形図を使うと、地図の見方に幅ができます
具体的には周りの地形を見て、現在の自分の居場所がある程度把握できるようにします
GPSは地図に自分の位置がほぼ正確にわかってしまうので、読図の勉強としては便利過ぎるので、最初は紙の地形図からみるようにしてほしいです
登山 ステップアップ術|その2)高尾山 次のステップに登りたい山 日帰り登山3時間コース
高尾山の次のステップに登る山は、行動時間3時間の山が目安が良いです
首都圏に近い3時間程度の登山となると、「高水三山」や「筑波山」がおすすめ
高水三山はJR青梅線軍畑駅から出発、下りは御嶽駅が一般的なルートです
▼高水三山の地図
発着場所の駅が変わりますが、全工程で3時間30分程度のお手軽な山なので登ってほしいです
ここは1つの山頂だけでなく、名前のとおり「高水山」、「岩茸石山」、「惣岳山」と3つの山を訪れることができます
個人的に、1回に3つの山をクリアできるのはオトク感があって魅力的
筑波山は首都圏からちょっと離れていますが、登っておきたい山です
▼筑波山登山コース
ここの行程は3時間程度
うれしいのは「ケーブルカー・ロープウェイ」があることです
登りを足で登ってみて、疲労がおもったよりあったときは、ロープウェイで降りることができます
ついつい楽をしたくて使ってしまうこともありますが、足腰が不安な人にはとても助かるメリットです
安全なケーブルカー、ロープウェイ直下のコースがおすすめですが、そのほかにも何本も山頂に向かうコースがあって、飽きがこないのも特徴です
山頂は男体山と女体山の2つの大きなピークがあり、どちらも視界を遮るものがまったくないので、眺めがとても良いです
ロープウェイがあって気軽に登れるということもあって、登山道以外は観光客がとても多いのがデメリットかもしれません
このステップでの目標は、
- 3時間以上歩いてみる
- ハイキング装備を再度確認する
- 紙の地図と一緒にスマホのGPSなども使ってみる
1ステップは2時間程度の山歩きでしたが、このステップでは3時間前後の山歩きを目標と考えます
行動時間が1時間程度伸びると、疲れ具合も大きくなります
2時間ではスイスイ登れたが、3時間ではちょっと息切れしてしまった・・という場合は体力をつけるトレーニング(ランニングなど)が必要になります
「ランニングなどしなくても、いろいろな山に登っていればそれがトレーニングになるのでは・・」
という考えもあります
でも下界でのランニングとは違い、山ではエスケープポイント(疲れたら逃げることができるところ)がほとんどありません
途中疲労で動けなくなったり、ケガをしたりすれば、下界とは比較にならないくらい他人に迷惑をかけ、最悪は死亡してしまったりします
そんな最悪のシナリオを回避、もしくは他人に迷惑をかけたとしても、これだけの準備をしたのだ・・という説明をするために、それなりのトレーニングや装備の確認などが必須になります(登山計画書なども重要です)
ちょっと登山に慣れてきたこのステップから、紙の地図とGPSを組み合わせて使うようにしたいです
GPSは答え合わせとしてなるべく見ないようにして、できるだけ紙の地図を活用するようにします
紙の地図もずっと見ながら歩くように使うのではなく、目標を決め、そこに着いたら確認のために地図を見て、次の目標を決めるようにします
進んでいくときに、「変だな」と感じたら紙の地図で確認し、不安なときはGPSを見るようにすれば、遭難せずに地図の練習ができます
合わせてGPSの練習にもなります
自分の位置を知るのはどの機種もそれほど面倒ではないですが、記録をとったり予定経路を作ったりするには、スマホのアプリであれば有料になる場合もありますし、ガーミンなどのGPS機器もセットするには時間がかかる場合があります
事前に確認しておいて、当日もセットを再確認するなどすると間違いありません
登山 ステップアップ術|その3)関東 登山5時間コースがおすすめ
3ステップは関東の登山で5時間程度の山を目指すようにします
よく歩く首都圏の人でも、なかなか5時間近く歩くことは少ないと思います
8:00出発で13:00に帰ってくる計算です
ゆっくりお昼の食事をとる場合は、13:30着と予想、休憩をいくつかとるなら14:30分着を予想します
ここでの目標はこちら
- 5時間以上歩いてみる
- 5時間歩いて感じた必要だと思う装備を追加する
- オンライン登山計画書 コンパスを使ってみる
5時間の行動時間は大変かもしれませんが、スピードを上げて疲れないようにすれば達成できない時間ではありません
長時間歩き切ると、装備も何がほしいか(水がもう少しほしいなど)、何が足りないかわかってきます
次のステップにつなげるようにいろいろ検討して工夫することも大切です
今まで紙の登山計画書を書いていたならば、オンライン登山計画書に挑戦してみてください
オンライン登山計画書は「コンパス」が便利で信頼があります
▼オンライン登山届 コンパス

「コンパス」は唯一官公庁とつながっている登山届で、これに記入すれば、警察や登山口にある登山届箱に入れる必要がありません
そして非常時の際には遭難時には迅速に対応してくれます
以前のコンパスはちょっと書きにくい印象でしたが、新しいコンパスは、書き方も以前とくらべるととても簡単になってきているので、初めての山域でもストレスなく書くことができます
関東圏でおすすめは「大岳山」、ここでは約5時間の登山が楽しめます
▼大岳山の地図はこちら
JR青梅線の青梅市の御岳駅からバスを乗り継いで御岳登山ケーブルを利用し終着駅登山道へ
そこから延々と登ります
登山道はここだけでなくいろいろな道があるのも魅力です
ロープウェイを使う道は初心者用で、それ以外はややレベルが高いので、まずはロープウェイコースがおすすめです
大岳山は登山というよりは奥多摩信仰の山です
登山だけでなく、参拝のための神社が連なっている山で、飽きることがありません
登山 ステップアップ術|その4)山小屋デビューはじめての1泊
ステップ4は山小屋デビューです
山小屋と一口に言っても誰もいなくて管理していない「避難小屋」から、リゾートのような温泉も完備している「レジャーな山小屋」もあります
今回はリゾートのようなとまではいきませんが、登山初心者におすすめの山小屋を、いくつか紹介してみます
このステップで経験する目標は、
- 宿泊の装備の確認
- 2000m級の登山に挑戦してみる
- 山の中で泊まることに慣れる
一部の山小屋を除いて、一般的な山小屋は必要最小限のものしかありません
アメニティとしても施設も少なく、自分のものは自分で用意するのが基本です
また、ほかの客との協力も必要です
睡眠をする場所も全員同じところという山小屋もあります(個室というところもあります)
自分のシュラフ周りに荷物がまとまるように整理整頓に心がけ、ほかの人の迷惑にならないようにすることが必須です
濡れものや靴・サンダル類は足元、ヘッドライトや時計、地図などすぐ使うもので乾いているものを頭の周りにまとめておきます その際はバラバラに置かないで、ビニル袋などを多めにもっていって、それらに小分けしておくと便利です
小屋の中で使わないものはザックに入れておいて、枕や足置きに使うと邪魔になりにくいです
就寝は早めに、夜のお酒はほどほどにしておきます
山小屋泊も、あくまで登山の通過点の一つと考えて、何かあったら起きてすぐ出発できるような準備が必要です
首都圏付近はあまりありませんが、地方にいくと小屋でドンチャン騒ぎをする人もいます
どうしても地方では自分の庭というイメージをする人もいるので、そんなときでもストレートに要望を伝えるのではなく、なるべくトラブルにならない程度の対応が必要になります
朝は早めの行動が良いです
暗いうちに準備をする人は、ヘッドライトをなるべく足元に向けて、最小ルーメンで行動ください
ボクがおすすめする山小屋は、若干古びたおもむきで、やや不便さが残る山小屋です
最近では、いままで登山をしたことがない人も山に来ることもあり、登山というよりは、観光よりの便利性を求めたサービスを加える山小屋もあります
ですが、登山の基本は「冒険」で山小屋も下界の宿と同じでは面白くないと考えます
今回おすすめする山小屋は
- 那須岳の三斗小屋温泉の大黒屋
- 立山の雷鳥荘
- 八ヶ岳のしらびそ小屋
この3つがおすすめ
特におすすめは那須岳の三斗小屋温泉です
那須の三斗小屋温泉は人気の温泉地で、煙草屋旅館と大黒屋という山小屋が2つあります
どちらも茶臼岳から約2時間歩いてたどり着く秘境の温泉小屋で、初めての登山泊にはちょうどいいと思います
三斗小屋温泉というと、有名なのは露天風呂がある「煙草屋旅館」ですが、なんとなく一見さん的な人が少ない大黒屋が落ち着いていておすすめ
▼大黒屋ホームページです
▼三斗小屋温泉の場所はこちら
ちなみに両方ともスマホは圏外です
おすすめの1つは歩く距離
おすすめは2時間というちょうど良い歩く距離です
初心者にはちょうど良い距離で、これが3~4時間となると、初心者には大変ですが、泊まり用の荷物をもったとしても、2時間くらいの山歩きは初心者でも問題なく、ちょうど良い負荷だと思います
おすすめの2つ目は温泉です
登山客の中には、温泉が一番の目当ての人もいるくらい人気の温泉地
単純温泉で神経痛や胃弱の方に効能があって、登山の疲れをいやすにはもってこい場所です
おすすめの3つ目はどの山にも行けること
茶臼岳の裏にある三斗小屋温泉の山小屋からは、有名な三本槍岳、朝日岳にも行くことができます
茶臼岳から大黒屋で宿泊、次の日は三本槍岳と朝日岳を回って駐車場に戻るコースがとても贅沢なルートです
那須岳周辺は登山客もほどほどにいるので、寂しいこともありません
困ったら尋ねることもできるので、初心者のソロ登山にもおすすめですね
立山の「雷鳥荘」・八ヶ岳の「しらびそ小屋」も初心者にはおすすめ
立山は富山県で、都心よりかなり距離があり、3,000m級の山がつながる山脈地帯です
このステップでは2,000m級の登山を目標としていますので、標高だけを見るとちょっとレベルが高いですが、整備されていて初心者でも楽しくハイキングが可能です
立山のアルペンルートはどちらかというと、観光色が強くて、バスやロープウェイを使って山小屋(立山 室堂平)があるところまで行くだけなら、軽装備でOK
登山靴でなくてもOKなので、普段着で室堂まで来る人もいて、どちらかというと観光という感じが強い場所です
室堂から周辺の山々をめぐる登山も、人の多さとアクセスの便利さで、初心者でも楽しくハイキングすることができます
今回おすすめの「雷鳥荘」はその「室堂」のいくつかある山小屋の中では、少し離れたところにある山小屋です
▼雷鳥荘ホームページです
▼雷鳥荘の場所はこちら
▼雷鳥荘の外観はこちら
この「雷鳥荘」がおすすめの理由は「距離感」
下車した室堂駅から約2時間程度の場所にあり、歩いて行くにはちょうどいい場所、そして駅近くの山小屋のように人が多くないのもおすすめの理由です
人気の立山の山小屋なので、奥まったところにある「雷鳥荘」も人は多いですが、室堂駅からすぐの立山室堂山荘やホテル立山から比べると静かな雰囲気を味わうことができます
八ヶ岳の「しらびそ小屋」もおすすめです
▼しらびそ山荘の場所はこちら
▼しらびそ小屋のホームページ

▼しらびそ小屋の雰囲気はこんな感じ
ここも片道2時間程度の道程で、初心者が最初に泊まる山小屋としてはよい感じ場所
しらびそ荘のほかにも、もう少し足を伸ばせば山小屋がたくさんあるので、少しずつ足を伸ばしていく楽しみもあります
ここを天狗岳に足を伸ばせれば楽しい登山ができます
登山 ステップアップ術|その5)テント泊まり1泊
最後のステップはテント泊の登山です
登山でテント泊をする前に、まずは近くのキャンプ場でテント泊の練習をしてみるところから始めると良いです
下界でテントの張り方や炊事のやり方を確認してから登山でテント泊をしないと、初めてのことを山の中でやるのはとても大変
下界でやれても山の中ではやれないということもあるので、まずはテントを張る練習が必要です
そこで手順などを確認したら登山の計画を立てるようにします
このステップでできるようにすること
- 宿泊の装備の確認
- 山の中で泊まることに慣れる
- 食事を作る
テント泊は食事を作ってもらえる小屋泊や日帰り縦走と違って、荷物が格段に重くなります
テントと食料が増えるだけなのですが、かなりの重量を感じるはずです
有人の小屋泊と違って、忘れ物をすると借りたりすることができませんので、しっかりパッキングしてください
また軽量化しようと食事を軽いものにすると「元気がでない」、「楽しくない」登山になってしまうので注意が必要です
ただ、しっかり作るような料理は不要です
お湯を入るだけのカップラーメン系や、温めるだけで食べることができるカレーレトルト系で十分
はじめてのテント泊の場合、カラダがとても疲れて料理をしたくなくなるかもしれません
テントを張ってしまうと、とりあえず寝ころびたくなってしまいます
そのためには、食事で疲れを取り、かつ簡単に料理する必要があります
主食をアルファ米やカップラーメンにして、味付けを乾燥エビや乾燥わかめで変えてみたり、フリーズドライを使ったりするとカロリーをしっかりとって、かつ楽しい食事ができると思います
そして慣れてきたらいろいろなレシピに挑戦してみてください
八ヶ岳・オーレン小屋のテント泊からの硫黄岳がおすすめ
おすすめのテント泊はオーレン小屋のテン場からの硫黄岳コースがおすすめです
▼オーレン小屋の外観
▼オーレン小屋と硫黄岳
▼オーレン小屋テントサイト情報
登山 ステップアップ術|[おすすめ]ステップアップには山岳会が早い
山岳会に加入すれば、ステップアップの速度はかなり速いです
新規会員の同行になれている経験者がいるので、ソロでやっているよりレベルを一気にあげることができます
個人でソロ登山をやっていてもそれはそれで自由ですが、安全を確保しつつ経験値をあげることができます
山岳会はボランティアで登山を教えてくれますが、代わりに何かを求めたりするわけではありません・・・が教えてもらったならば、それなりに運営の手助けをするなどの恩返しは社会通念上必要になってきます
それが嫌でソロで登山を続けるひともいます
登山のやり方は自由なので、どんなやり方でも問題ありません
山岳会はみんなで協力して運営していく会なので、それなりに面倒はありますが、ボクは山岳会はおすすめです
※山岳会とお試し山行をするときは、「山岳会を探している」という理由よりは、「山岳会に入会するか、ソロで登山を続けるか悩んでいる」という理由にすると、断るときに断りやすいので、お試しください
選んでいることを伝えると、どうしても断りにくいし、相手も気になってしまう場合があるので、難しいですね