外道クライマー・・・・
最近の本の中でここまで心を揺さぶられた題名はなかったと思います。
この本は「宮城公博」さんが書いた登山のノンフィクション
外道(げどー) とは 道の外。つまり人外(じんがい)の教えということ
それを考えるだけで、ますますのめり込んでしまいそうになります。 人外と言えば ボクの好きだった「帝都物語」。 主人公である「魔人 加藤保憲」 が陰陽道などの外道法を駆使し、帝都(東京)の破壊をもくろむ物語です
ボクはクライマーというよりは、山登りを趣味としていますが、この「 外道クライマー 」の著者 宮城公博さんは 「沢登り」というカテゴリの登山を主にしている人で、その道では有名な人
オンラインでもブログを立ち上げていて、その名も「セクシー登山部」・・・。
この沢登りの本「外道クライマー」とブログ「セクシー登山部」から宮城公博さんに近づいてみたい・・・
ここまでの本の情報では、どんな本なのか最初のうちは全くわかりませんでしたが、そのタイトルのインパクトから、見たくて我慢ができなくなりました
==▼目次==
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宮城公博さんとは
ここで「宮城公博」さんを簡単に紹介したいと思います。
一応、本の中からそれらしいものを選ばせてもらうと、宮城さんは「沢ヤ」という人種で、「沢登りに偏屈なこだわりを持つ、社会不適合者」・・・だそうです
「社会不適合者」・・・・・何を言っているかよくわかりません
登山家としては「称名滝の冬季初登攀」や、「台湾チャーカンシー初遡行」などのように、登山界でも認められるかなり難易度の高い記録を持っている宮城さん。 この不適合者発言を聞くだけでおもしろくなってきました
なにぶんブログの内容や、そのメディアでの言動から、少しふざけている人に見られるのは、しょうがないことですけど、ボクの中ではワクワクしてくる発言です
「外道クライマー」僭越ながら書評を少しだけ
「外道クライマー」を買ってしまった・・・・・とにかくワクワクしながら、その本をめくると最初からインパクトがかなりの重量感で攻めてきました
最初の写真が、途中のかわいい挿絵と裏腹に、地獄のような滝や岩壁が載っていました。
「こんなところ進めるひとがいるんだー」自然と独り言を言ってしまう自分がいました。
「ヘビ」もいました。
それをいかにもワイルドに食べるようにみせているのが、宮城さんです。
これ以上みていると、最初の写真で1日が終わりそうだったので、振り切って先をすすむことにしました。
何が「外道(ゲドー)」なのか
実はこの人(失礼ですが「この人」と言ってしまいます)、世界遺産である那智の滝を登って警察のお世話になった方々の一人で、そのときのニュースは自分の記憶に新しいですね。
(参考:ポストセブン https://www.news-postseven.com/archives/20160424_406101.html?DETAIL)
しかし、ここで間違ってもらうと困るのは、警察に捕まったから 「外道(ゲドー)」 なのではなく、宮城さん達が行っている、「沢登り」という登山が「ゲドー」だということです
「ゲドー」の理由はその行為が「原始的で野蛮」だから・・と自分は解釈しました。
通常の縦走や、岩のクライミングから比べると、沢登りというジャンルはとても泥臭いジャンルです。
ドロの中に手を突っ込んで、落ちれば一貫の終わりのような場所を、手探りで進んでみたり、イバラがあるヤブを、手や顔に引っかき傷を作りながら前進してみたり、そしてルートミスと分かったら、同じ道を戻ってみたり・・・・のようなことも日常茶飯事です
そして、ハチに刺され、ヒルにおびえ、クマの出現に備えるため、西部のガンマンの早撃ちのように、ナタやトウガラシスプレーの早撃ちの練習をするような、 そんな自虐的と言ってもおかしくない登山の形態を「外道(ゲドー)」という名で表現しています
今回、ボクはそんな宮城さんのこの本を、本の題名だけで、もう嬉しくて嬉しくて、買ってしまいました
「青島靖」さん登場
本文に入る前に、「沢登り・人名用語」という項目がありました。
なんとなく勘で危険な雰囲気は分かっていましたが、ここを逃げて本文に行くわけにはいきません。 とにかくここをサラリとやっつけて本文に行くはずでしたが、完全にここで引っかかってしまいました。
危ないのはわかっていました。 でも少し油断していたんだと思います
とにかくボクがやられてしまったのは、沢登り界で知る人ぞ知る「毒の青島」(青島靖さん)の項目 残念ながらボクはここで少なくても30分以上費やしてしまった・・・・・のです
「青島靖」さん・・・「雄の中の雄」「風呂に入ったことがない」「ハミガキを知らない」・・・などホントかウソかわからないような情報が交錯するなかで、とにかくオンライン上では情報が全くない状況です
・・・いや、待て!あぶない・・
本文は明日にしよう・・・
この青島さんの項目はまだ本文じゃありません。 ボクはまだ入り口にさえたどりついていないのに、こんな感じで1日目が終わってしまいました。
※エクストリームな沢登りの本や山スキーの本をいろいろ探っていくと時々「青島さん」の名前が現れます。そこの青島さんはそれほど人間を超えているような感じはありませんが、「宮城さん」や外道クライマーに登場する「世界のけんじり」ことケンジリ医師の言葉を見ると、かなり「人外のゲドー」クラスになってしまうな・・・と思うのはボクだけじゃないはずです。 とにかくオンラインでは「野良犬通信 青島」と検索すると何個かヒットするのでそちらを見てください
※青島さんのことについては、こちらのブログ「2702m」( http://2702m.com/50route/50book/06.shtml )さんでわかります 個人で「野良犬通信」といわれる芸術的な冊子を出版 自分もちゃんとはまだみたことがないですが、そのうち拝見したいです(2017/12にブログ「2702m」が閉鎖になりました・・残念です)
ゲドークライマーを読み終えての感想は・・・疲れた・・・
次の日は立ち止まると危険なので、一気に読み進めて、ようやくやっつけることができました
内容は見てのお楽しみですが、宮城さんの人間味が非常にでていて、意外におふざけは少なく思えました
宮城さんの「造語」のようなものも、何の疑問もなく読んでしまい、その感性は意外に繊細なものがあるように思えました
ある雑誌で 認定NPO法人富士山測候所を活用する会の土器屋由紀子さんが、この本の批評をしているのを見かけました。
土器屋さんは東大卒で、米国商務省標準局客員研究員、気象庁気象大学校教授、東京農工大学農学部教授と輝かしい経歴の持ち主で、全く宮城さんとはかけ離れた人のようにみえます
しかしこのNPOの仕事で宮城さんとつながりがあり、そのため批評をしていたのだと思います
その批評内容は、孫の作文をみるような批評で、宮城さんへの深い愛情が見え隠れしています
(最後には子供たちに見せるとマネするから隠しておこうと締めていますが、、)
▼そのブログがこちら
近頃の若いものは冒険心が足りないなどという人には読んでもらいたい本である。冒険(「ムチャ」と仮名を振りたくなるものもある)、それも並大抵なものではない。
死とギリギリの場所に自分を置きたい欲望がギラギラした激語(「悪絶」とか「悶絶」とか)で飾られているが、それでも読ませてしまうのは、昨年度開高健ノンフィクション賞の候補に最後まで残った文章力の故だろうか?
主題の「タイのジャングル46日間の沢登り」が3章に分けて、途中に間奏曲のような日本や台湾の沢が出てくる構成の妙だろうか?
~中略~
いや、いや待てよ。もしかして孫がやってきてこれを見つけたら・・・まだ体力も実行力もある孫たちの世代がこれを読んで中途半端に真似などされてはオソロシイ。
絶対に孫の目には触れないように大人だけで楽しむことにしよう!!出典:土器屋由紀子
その中で、宮城さんはいろいろ言われてはいるが、仕事のときは、かなり真面目な性格のようだ、などと書かれていたことを見ると、宮城さんは、おふざけと繊細さが入り混じった、魅力ある人のように、間違って思ってしまうことは、なにぶんいたしかたないでしょう。
今後も宮城さんの行動には目が離せそうにもありません
宮城公博さんのブログ「セクシー登山部」
宮城さんは更新はあまりされていませんが、ブログを立ち上げています
この「セクシー登山部」というのは、入山許可の申請の時に「登山隊名」を考えなくてはならないのですが、剱岳に入るときに決めた「チーム名」だそうです
2008年に馬場部長と共に劔岳に入る許可申請の為に登山隊名を考え、居酒屋で適当に決めたのが「セクシー登山部」だった。
その年、僕らと同様の理由で登山隊名を「ギリギリボーイズ」として申請し、黒部横断に挑戦したのが伊藤仰二・佐藤裕介・横山勝丘のトリオだ。
僕らセクシー登山部は荒れ狂う劔岳になすすべなく逃げ出したが、ギリギリボーイズは黒部横断を命からがら、それこそギリギリの状態で成功させていた。
のちに彼らの記録を見て大いにゾッとし、燃え上がる嫉妬心を抱いたものだ。出典:セクシー登山部
※ここで言っている「ギリギリボーイズ」も石井スポーツ登山学校校長の「天野和明さん」などが加盟している最強精鋭のチーム名。いつもギリギリ
▼もっとよく知りたいひとはこちらのブログを見てもらうと、ある程度わかります
また、こちらの対談でもなんとなく、その人柄やシュールさが伝わる内容
本気でふざけているって感じが伝わるので、ご覧ください
▼こちらのNEWSポストセブンでの対談では沢登りについて語っています なんとなく気持ちはわかりますが・・
一概には言えませんが、ヒマラヤの世界ってシリアスなんです。
世界一の山の頂を目指す、その風景を思い描くだけで、神々しい。
一方でゴルジュの世界には、どこかバカバカしさが漂っているんです。
なんでこの狭い、じめじめしたところを、そこまでして行こうとするの? っていうシュールさもいい。
加えて探検的な深みや、誰も見たことないところに行く面白さもあって、はまりました。もちろん、雪山や氷壁も今もやりますけど。 外道クライマー「僕が沢登りに異常なこだわりをもつ理由」2012年、世界遺産・那智の滝を登り、軽犯罪法違反で逮捕、およそ3時間後に釈放された宮城公博さん。事件により仕事を失い、空いた時間で、国内外の沢を目指すことに。宮城さんは自称“沢ヤ”。…
こちらも対談形式
シュール過ぎて、一般の人たちからすると、あまり公(おおやけ)に出したくない気持ちになるはずです
―「企業のロゴ入りの服を着て登るなんてダサイ」と書いてますよね。
宮城 そこには嫉妬もありますけど(笑)。でもやっぱり、中学生のヤンキーのノリじゃないですけど、綺麗なカッコして企業に媚(こび)売るのはイヤだという雰囲気はありますね。
―この本のハイライトはタイのジャングルを46日にわたり遡行(そこう)する旅ですが、まさに「ヤンキーの意地の張り合い」みたいな場面がある。「トウモロコシのような実」が落ちていて、相棒がニヤついている。宮城さんは「ここで食べないのは沢ヤが廃(すた)る」と齧(かじ)り、毒に七転八倒するという(笑)。
宮城 なんとなく、ここで逃げては男らしくない…舐(な)められたらアカンというのはありますね。
出典:exciteニュース
宮城公博さんのtwitter投稿
宮城さんは、少なくともオープンでは「Twitter」のアカウントはとっていません
これだけメディアに詳しい宮城さんなので、どこかにいると思うんですが、まだみつかっていません
▼こちらはTwitterの宮城さんのハッシュタグリンクです
#宮城公博
参考にどうぞ
宮城公博さん の現在は?
宮城公博さんを現在いろいろ追っていますが、現在はなにもやっていないと思います。 そして何か企んでいるのはバレバレ
外道クライマーを書いてからスグは、自分もあまり知らなかったのですが、宮城さんは講演会もやっていたようです
現代アルピニズムの先駆者
外道クライマー宮城公博 ×
クライム&ライド佐々木大輔
の講演会講 演14:40~15:40
「現代アルパインクライミング考」(仮) アルパインクライマー 宮城 公博 氏
書籍販売・サイン会15:40~16:00出典登山研修所友の会事務局:http://tozanken-tomonokai.com/info.html
こちらのようにオシャレなトレッキング雑誌の「ランドネ」でもトークイベントを開催しています
・・・なんとなく「ランドネ」は似合わないと思いますが
▲クライマー/作家、宮城公博さんのトークイベント開催▲
ランドネでもエッセイ連載中で、アルパインクライミングの世界では日本で十指に入る実力者、宮城公博さん。
彼がこだわる、「最も野蛮で原始的な登山」と呼ばれる沢登りをはじめ、”ポストモダンな冒険”について語ります。
残り席が少なくなってきているので、気になる方はお早めにチェックしてみてくださいね。●日時:12月19日(月) 18:30〜19:50 (17:30開場)
●開催場所:ici club 神田6F EARTH PLAZA
●参加費用:500円(1ドリンク付き/種類には限りあり。持ち込みも可。ただし適量に限る。泥酔お断り。ソフトドリンクも用意あり)
●募集人員:50名
●募集対象者:良識ある方
●講習内容:従来の冒険ノンフィクションとは一線を画す。出典:ランドネフェイスブック
これからもあるかもしれません
公式のサイトがないので、そこで知ることができないため、ときどき検索して探すしかないようです
なんとなく、今度は「モンベル」から公演が出てきそうな気がします・・・あそこには服部さんがいるからな・・・
宮城公博氏と仲良しの「成瀬陽一氏・角幡 唯介氏」
外道クライマーで登場している人たちの本を紹介
まずは「外道クライマー」
まあこの名前で出してOKというんだから集英社もなかなか太っ腹
びっくりしたのが「夢枕 獏」さんが 「近年の山岳ノンフィクションでこれほど面白く読んだものはない」とか言っていること。 夢枕さんがそんなこと言っていいの・・・?と思ってしまいまいした。 でもそれほどワクワクするけど、宮城さんの考えていることは普通のそこら辺にいる人と同じという、なんとなく仲間意識ができてしまうその書き方ですね。
文庫化する予定はいまのところなさそうです
すでに「Kindle版」も購入していますが、文庫化したら、手持ち用としてまた買ってしまいそう・・・(買ってしまった)
つらい時、ワクワクしたい時に見たくなる本
つらい・ワクワクは完全に反対の感情ですが、そう思ってしまいます
理由はこのシュールさかも
どこまでもシュールで現実的でない現実が、自分の心をつかんでいるような感じがします
成瀬陽一氏
沢登りで一番最初に有名になった人「成瀬陽一」さん
その有名になり始めた本の一つが「俺は沢ヤだ」です
沢登り好きなひとなら、とても危険な本になるはず。 成瀬さんは先に説明した「野良犬の青島」さんのパートナー
同じくらい変わっていて、コアで吹っ飛んだ考えが常習な人の中でもより顕著な例
外道クライマーでは詳しく載ってないですが、称名滝の登攀を宮城さんや大西さん(現在、世界一の沢ヤで宮城さんと一緒に捕まった人)と同じような時期に計画したり、宮城さんと同じ人種で考えていることわけわからん。 今はオール電化の家に住んでいるらしいです
角幡 唯介氏
宮城氏や成瀬氏より先に一般的な成功を収めていますが、結局両氏と同じ人種の人「角幡」さん
変わり者の服部文祥さんとも仲良しな人
こんな人たちを見ていると、自分もその仲間入りをしたくなるから不思議だけど、そこは最後の砦として突破したくない
宮城さんが捕まったニュースを見て「そうか!、その手があったか!!」として「妙な嫉妬心と敗北感を覚えた」と思ってしまった人が「角幡」さん