登山でヒートテックを肌着として使うと、乾きにくく冷えの原因になる場合がある。それは確かだ。
原因は乾きにくい「レーヨン(植物由来の化繊)」を素材として使っているからで、それが汗冷えの原因になるからだ。それは間違っていない
ただボクは使っている(ときどきだが)。なぜ使っているかというと、安くて暖かいからだ。
使い方は「超極暖」のヒートテックの下にスキンメッシュのベースレイヤーなどをつける。こうすると汗冷えは減り、厚手なので少しの汗ならば問題なく暖かい。加えてあまり汗をかかない低山ハイクで使用する
乾きはポリエステル化繊と比べるとヒートテックはいまひとつだが、ウールよりは乾きやすいと思う(乾きスピード比較>>)
最近はヒートテックを登山に使うのは「絶対ダメ」という記事が多く、それを見てなんとなく反対意見もあっても良いのでは・・・と思いこの記事を書いた
冒険家 南谷真鈴さんのヒートテック
冒険家「南谷真鈴」さんは南極点到達のときに、ドライレイヤーを併用しヒートテックを使っていた(ドライレイヤーはちょっとズルい気もするが)
▼南谷さんをサポートするヒートテック
広告塔としての役割と、ミレーのドライナミックを使ったやり方(ちょっと「反則」のイメージがあるが)を差し引いても、極所でヒートテックが使えているとうことは、一定の評価をしていいのではと思う
(個人的にドライナミックの「アミアミ過ぎ」はちょっと苦手だ)
▼南谷さんのフェイスブックで紹介していたが、今は消されている・・・
登山ウェア乾き比較一覧
乾きスピードの実験をしてみた。簡易実験なので悪しからず
気温25℃の屋内で洗濯して乾燥が完了した時間はこちら↓
- ポリエステル100%シャツ 乾きは「5時間」
- ヒートテックタイツ 乾きは「7時間」
- コットン100%のポロシャツ 乾きは「12時間」
- ウール100%のシャツ 乾きは「10時間」
▽左からヒートテック、モンベルウール、Patagoniaキャプリーン3、コットンポロ
ウールは冬に活躍する素材濡れても暖かいという効果が有名だが、乾きにくいというデメリットはあまり有名ではない
実際着ている人にはわかると思るが、薄手のウールインナーなどの素材は、重ね着をして、内部を暖かくしていないときは、やっぱり冷たくなる
ヒートテックでもウールでも暑くならない程度に保温をしっかりとしておけば、濡れてもそれほど冷えは感じない
登山にヒートテックは良いか悪いかの結論
ヒートテックでの登山は、ポリエステルウェアと比べると乾きにくく、できればポリエステル素材のアンダーが良い(保温を度外視した場合)
だが「まったくダメ」というのは言い過ぎのような気がする
含水率やその他いろいろな意見があると思うが、実際登山で着てみて感じてみれば「絶対ダメ!」という雰囲気は行き過ぎと感じてもらえるはずだ
乾きも重要だが、それより外気に応じて脱いだり着たりを面倒がらずにすることの方が「とても大切」だ
初心者でジャケットの脱ぎ着が面倒なときには、例えば山頂付近に行く前(風が強くなる前)に、レインウェアなどを着るクセを付けるとかなり冷えの防止になる
初心者が最初からいろいろな登山装備を買うのはちょっと大変だ。高機能のインナー・アンダーは、良いものは5,000円から1万円くらいする
ヒートテックを最初から持っているならば、高尾山などで大汗をかかないようなトレッキングなら「ヒートテック」もアリだろう
確かに「吸湿発熱」を過大にとらえてしまうのは良くないが、「ゼッタイにヒートテックはダメ」と考えるのはちょっと言い過ぎかもしれないと思った次第
登山に使うヒートテックとは
おすすめはレーヨン割合が少ない「ヒートテックウルトラウォームクルーネックT(超極暖)」
49% ポリエステル,34% アクリル,15% レーヨン,2% ポリウレタン
レーヨンが少ない分乾きは比較的早い
レーヨンが少ないということは発熱効果がやや低いかもしれないが、ボクが着てみた印象では、生地の厚さがあってその分をカバーしている
<参考>
ダイワボウレーヨン株式会社
旭工業繊維株式会社(http://www.asahikgs.co.jp/img/f.pdf)
ボーケン
各種繊維の性能表