「ゴアテックスの種類とグレード」登山で使う知識・その他素材【比較】

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【2019年1月27日】更新

アウトドアが趣味の方なら一度は聞いたことがある「ゴアテックス」

「透湿防水」で汗抜けをしてくれる素材ですが、最近は透湿重視で防水しない「ゴアテックス」が出てきたり、とにかく種類が多すぎてとてもわかりにくくなってきました

また高価で有名な素材なので、「暖かいのでは?」と考える人もいるようですが、羽毛のように直接暖かくしている訳ではありません

今回はその「ゴアテックス」の「生地の種類」「特長」「違い」「選び方」についてまとめました

 
 

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目次

  1. ゴアテックスの種類
  2. ゴアテックスは暖かくない
  3. ゴアテックスの選び方
  4. 劣化・剥離の耐久性
  5. やっぱり登山には「ゴアテックスプロ」がオススメ
  6. ゴアテックス以外の透湿防水素材
  7. ゴアテックスとは?

 
 

ゴアテックスの種類

「ゴアテックスシリーズ」は大きく分けて4種類にわかれます

  1. ゴアテックス
  2. ゴアテックスプロ
  3. ゴアテックスアクティブ
  4. ゴアテックスインフィニウム|防水しない、透湿オンリー

 

ゴアテックス


▼ゴアテックスを使ったアウター
[ザ・ノース・フェイス] マウンテンライトジャケット Mountain Light Jacket メンズ ファイアリーレッド 日本 XXL (日本サイズ2L相当)
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最も汎用性の高いのが一般的なゴアテックスと呼ばれるものになります

防水や透湿などの基本性能を十分に兼ね備えていますので、一般的なアウトドアでの利用ならゴアテックスがおすすめです

参考:GORE-TEX ガーメント

 

ゴアテックスプロ


▼ゴアテックスプロを使ったアウター
(マムート) Mammut Nordwand Pro HS Hooded Shell Jacket レディース ジャケットNight [並行輸入品]
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防水も高スペック

透湿も高スペック

耐久性も半端ない(←これが一番の特長)

ただ・・・「高価」なだけです

ゴアテックスプロは、より本格的な活動をする方におすすめです

一般的なゴアテックスよりも高い耐久性をもち、透湿性も向上しています

ゴアテックスプロは、レジャー以上の活動(=仕事 遭難救助とか)をする場合に効果を最大限に発揮します

ホントのプロ用

参考:GORE-TEX PRO ガーメント

 

ゴアテックスアクティブ

透湿重視

そして、軽い

激しい運動をする人におすすめ

スポーツなどで使用する場合は、ゴアテックスアクティブがおすすめです


▼ゴアテックスアクティブを使ったアウター
Norrona ノローナ ロフォテン ゴアテックス アクティブジャケット メンズ
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デメリットは耐久性が少ないこと

3層構造ですが、1枚1枚がかなり薄く作られています

表・裏地が13~30デニールということ

ストッキングは30デニール未満なので、その薄さがわかると思います

参考:GORE-TEX ACTIVE ガーメント

「ゴアテックス-インフィニウム」防水しない、透湿オンリー

最近発表になった最新素材「ゴアテックス-インフィニウム」

▼ゴアテックス公式サイト

GORE-TEX INFINIUM™プロダクト
The perfect everyday clothing built with our water-resistant technology. Our GORE-TEX INFINIUM™ products range will protect you from that light rain on your com【続きをよむ】

これはゴアテックスなのに、防水じゃない!(透湿性能はすごい)というゴアテックスのイメージとはかけ離れた性能になっています


▼ゴアテックスインフィニウムを使ったアウター
THE NORTH FACE/GTX PAMIR JACKET (S)
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なぜこんないままでのやり方をガラリと変えた製品を作ったか・・・一番の理由は市場の動向です

最近は、トレイルランやランニングなどの人気もあって、ソフトシェル的な「薄いナイロンジャケット」が人気になってきました

透湿性能がすごくて、防風で、耐水・・・・というジャケットが最近人気ですね

その市場に合わせてゴアテックスも動いたということになります

ゴアテックスというと、「防水」と「透湿」を思い浮かべてしまいますが、そうではない素材もあるので、買うときは注意ですね

 
 

ゴアテックスは暖かくない

ゴアテックスは「透湿防水」の生地で、これだけでは「暖かくありません」

ただ、汗冷え(あせびえ)が少ないので、「冷たくなりにくい」ということはいえます

1つだけ暖かいゴアテックスがあります

それは最新の「ゴアテックスインフィニウム サーミウム(GORE-TEX INFINIUM THERMIUM)」という靴に使われているテクノロジーは、インサーレーション(中綿)を使った機能なので、こちらは暖かいゴアテックスです(防水ではありませんが・・・)

GORE-TEX INFINIUM™ フットウェア with THERMIUM™ プロダクトテクノロジー
GORE-TEX INFINIUM™ THERMIUM™ プロダクトテクノロジーは、足先をしっかり保温。室内でも靴内の快適さを保つよう、デザインされています。

 
 

ゴアテックスの選び方

どんなアクティビティのときにどれを選んだらいいか・・・下記のように表にしましたので、参考にしてください

種類特徴用途表地レイヤーテクノロジー
ゴアテックス(標準)オールラウンド登山・アウトドア指定なし2・2.5・3C-KNITパッカー・PACLITE
ゴアテックス プロ高耐久性クライミング・冬季登山・40D以上3レイヤーマイクログリッドパッカー
ゴアテックス
ゴアテックスアクティブ軽量/高透湿性ランニング・トレラン40D以下3レイヤーSHAKEDRY
ゴアテックスインフィニウム軽量/高透湿性/防水なし耐水性あり街着・ランニング・トレラン指定なしWINDSTOPPER・フットウェア WITH THERMIUM・グローブ WITH ストレッチ

Dとは、生地に使われる糸の太さを表す単位で、読み方は「デニール」
数字が大きくなるほど太い糸が使われています
比較として、ストッキングは30デニール未満のものを使っています

 

劣化・剥離の耐久性

ゴアテックスのテクノロジーは繊細(せんさい)で緻密(ちみつ)です

そのため、「透湿防水機能」も繊細に扱わないとダメなのか・・・と思うかもしれませんが、そうでもありません

個人的に「プロシェル」を2つほど5年以上使っていますが、透湿防水が損なわれるということはないです

メンテナンスを繊細にやっているのではないか・・・と思われるかもしれませんが、メンテは基本洗濯機です

ときどき「乾燥機」も使います

それでも、剥離(はくり はがれること)や劣化(れっか)による破れや機能がなくなるようなことはありません

十分自分の山行に着いてきてくれています

プロシェルだからという理由はあるかもしれません

機能は価格に反映されていることが多いので、それはあると思います

ですが、ゴアテックス全体を見ると、メンテナンスが面倒なイメージはありますが、まったくそんなことはありませんので、心配しないでください

 

やっぱり登山には「ゴアテックスプロ」がオススメ


▼ゴアテックスプロを使ったアウター
ノースフェイス(THE NORTH FACE)GTXプロジャケット NP61711 K XL K
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いくらレジャーだからといっても、山は簡単に人を裏切ります

そのために、個人的にはやっぱり「ゴアテックスプロ」がオススメ

公式サイトにも「レジャー以上の活動」と書いてあるので、初心者の人はちょっと勘違いしてしまうかもしれませんが、価格が合えば、やっぱりいいものを着てほしいですね

 

ゴアテックス以外の透湿防水素材

ここ最近独自の透湿防水素材の開発が多くなってきたように思えます

今はゴアテックスばかりが有名ですが、以前からあった他メーカーの「透湿防水機能」の一部を紹介します

 

  1. パーテックス
  2. eVent(イーベント)
  3. ネオシェル
  4. DryQ(ドライキュー)
  5. H2Noパフォーマンス
  6. オムニテック
  7. ブリーズドライテック

 

パーテックス

パーテックスは、1979年、英国の登山家が開発した、薄くて軽量でダウン抜けせず、かつ強靭(きょうじん)なナイロン素材です

使い方によって、クアンタム、マイクロライト、クラッシック、エンデュランス、イクイリプリアム、シールドの6種に大別されます

この中で透湿防水の機能をもつ生地は「シールド」と呼ばれています


▼パーテックスを使ったアウター
モンテイン Montane メンズ アウター ジャケット&ブルゾン Minimus Smock [並行輸入品]
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最新のデータは「耐水圧20,000mm、透湿性20,000g/㎡」で優秀です

その「シールド」シリーズの中でも「シールドDV」はかなり優秀な感じがします

参考:TORAYA SPORTS トラヤスポーツのブログ
https://blogs.yahoo.co.jp/mountain_trash/56567819.html

参考:山と道ラボ
https://www.yamatomichi.com/journals/5557/

 

eVent(イーベント)

ゴアテックスに勝るとも劣らない透湿防水素材として注目されているのが「eVent(イーベント)」です(開発はイギリスのBHA社)

「ゴアテックスの防水性はそのままに、透湿性を向上させた」というものです


▼イーベントを使ったアウター
[ラブ] アウトドア ジャケット QWQ-31 Black UK 8-(日本サイズ9 号相当)
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「ゴアテックス」と「イーベント」には、「フッ素樹脂(PTFE)」という、同じ「膜」を使っていますが、性質が違います

一般的に、ゴアテックスの「膜」は親水性(水になじむ)なので、直接人間の皮フに触ると、油や汚れがついてしまいます

それを防ぐためにゴアテックスには裏地がついています

しかし、この裏地があると、透湿性能が制限されてしまいます

一方、イーベントは、疎水性(水をはじく)になるように、性質を加工しているので、汚れがつきにくいです

そのためこの裏地が不要で、ないんですね

その分、透湿性が高くなるということです

また、ゴアテックスはウェア内の湿度が外気の温度よりも高くなるまで透湿しにくいですが、イーベントは、着た瞬間から透湿が始まります(圧力が少なくても水蒸気の移動が可能)

イメージとしては、「じんわり通気している」という感じです

スペックは耐水圧30,000mm、透湿性30,000g/㎡という驚異(きょうい)のスペック

透湿が気になる自分としては、これだけ見ると完全にゴアを抜いているように感じますが、いかんせん名前が売れていません

価格もそれほど大きな差がないように見えるので、これから見直されてくると、ゴアテックスを抜くかもしれない一品です

参考:eVENT公式サイト

参考:CONTOUR

 

ネオシェル(ポーラテック)

ポーラテック社はフリースの生地とても有名な会社です

現在もほとんどの高スペックフリースはこの素材を使っています

そこで開発した「ネオシェル」は、次世代の透湿防水素材として登場


▼ネオシェルを使ったアウター
Teton Bros.(ティートン ブロス) ウィメンズ ティービー ジャケット WS TB Jacket TB183-010113
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ネオシェルは他の生地と異なっていて、防水のソフトシェルという感覚が特長で、しなやかさが売りですね

詳細スペックがないので、細かい比較ができませんが、クチコミなどを見ると、ゴアテックスと比較すると「透湿性は良い」ようです

防水性は若干劣り(おとり)ます

劣ると言っても、登山で普通に使う(沢登りや激しく汗をかく動きではない)範囲では全く問題ありません

参考:ポーラテック公式サイト

参考:geared
http://geared.jp/tsuchiya/2013/02/event.html

参考:山と道ラボ
https://www.yamatomichi.com/journals/5557/

 

DryQ(ドライキュー)(マウンテンハードウェア)

有名登山メーカー「マウンテンハードウェア」の独自の生地です


▼ドライQを使ったアウター
Mountain Hardwear メンズ スーパーバードジャケット M
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「DryQ(ドライキュー)」には、「ドライQコア、ドライQエリート、ドライQエバップ」の3種類があります

この生地は、2011年に開発された素材で、ゴアテックスを上回る透湿性があるとして注目されています

「ドライQコア」は、ドライQのベーシック的な物であり、時間が経過しても透湿性が損なわれない素材です

「ドライQエリート」は、着た瞬間から透湿が始まる優秀な生地で、通気性重視なので、衣服内の湿度が上昇しなくても透湿してくれます

「ドライQエバップ」は、ドライQのメンブレンにエバップという裏地の速乾技術を組み合わせた素材です

これも登山メーカーの経験が含まれている透湿素材で、とても優秀

汗抜けを重視しているので、活動的な登山に使えそうですね

参考:マウンテンハードウェア公式サイト

 

H2Noパフォーマンス・スタンダード・シェル(パタゴニア)

昔からゴアテックスと戦ってきたパタゴニア独自の透湿防水機能です


▼H2Noパフォーマンスを使ったアウター
[パタゴニア] アウトドア ジャケット 83807 Black//Black US XS-(日本サイズS相当)
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以前パタゴニアの透湿防水はこれしか使っていませんでしたが、最近は特許権が外れて安くなったことが理由のためか(自分の予想)、パタゴニアでもゴアテックス製品を使うようになりました

ゴアテックスもいいのですが、やっぱり価格帯は「H2Noパフォーマンス」が断然(だんぜん)安いです

ゴアテックスとH2Noの両方があることで、ユーザー的には選べるものが増えてありがたいですね

スペック情報は少ないです

現在のところ、耐水圧20,000mm、透湿は透湿性10,000g/㎡くらいだと思われます

機能がゴアテックスより低く見られますが、コストパフォーマンスがかなりいいので、プラスマイナスゼロというところでしょうか

個人的にH2Noを使っていて不満はありませんので、価格を見て選ぶといいと思います

参考:透湿防水性生地の透湿性能比較実験

参考:パタゴニア

 

オムニテック(コロンビア)

非公式ですが耐水圧20,000mm、透湿は透湿性10,000g/㎡という報告があります


▼オムニテックを使ったアウター
(コロンビア) Columbia マウンテンズアーコーリングIIウィメンズジャケット XL Lollipop
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実験が古いので、現在のスペックと比べるのは難しいですが、現在はこの数値よりいいと思われます

オムニテックも性能はゴアテックスより劣る(おとる)と思われがちですが、価格など、総合的にみると、これも悪くない選択だと思います

コロンビアおしゃれですしね

参考:コロンビア公式サイト
参考:透湿実験

 

ブリーズドライテック(モンベル)

日本の代表的なアウトドアメーカー「モンベル」が開発した素材です


▼ブリーズドライテックを使ったアウター
(モンベル)mont-bell ドライテック レインウエア Men's 1128297 PAPRI パプリカ S
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公式発表の性能は耐水圧25,000mm、透湿性15,000g/m2・24hrsという、ゴアテックスに迫る(せまる)性能でかなり優秀

価格もゴアテックスと比べると「かなり安い!」

モンベルは、自社の「ブリーズドライテック」も扱っていますが、「ゴアテックス」も扱っていて、ユーザー的に選べる自由がありとてもありがたいです

参考:モンベル

 

ゴアテックスとは?

ここからは、ゴアテックスのちょっと踏み込んだ説明をします

詳細は下記目次をみてください

<目次>

  1. ゴアテックスの会社は「W.L.ゴア&アソシエイツ」
  2. ゴアテックスの特長はとにかく「透湿防水」
  3. ゴアテックスがない時代は「カッパ」と「ヤッケ」
  4. 「ゴアテックスメンブレン」と「ゴアテックスファブリクス」の意味
  5. ゴアテックスの素材の構造は3層が基本
  6. ゴアテックス「3」「2」「2.5」レイヤーは層の数を表す
  7. ゴアテックス社はみんなが株主

 

ゴアテックスの会社は「W.L.ゴア&アソシエイツ」

ゴアテックスとは、商品名ではなく「ウェアの素材」を指していて、アメリカの「W.L.ゴア&アソシエイツ(W. L. Gore & Associates, Inc.)」が販売している「素材の商標名」のことをいいます

会社の名前が長いので、通称は「ゴア(Gore)社」と言われています

当時は「防水」なのに「透湿」という反対の機能を備えていて、かなり画期的な発明でした

今も、かなり画期的なことをし続けている会社です(>>ゴアテックス素材より画期的な挑戦はコチラ

 

ゴアテックスの特長はとにかく「透湿防水」

ゴアテックス素材の特長はなんといっても「透湿防水」

水を通さない防水機能と、湿気を通す透湿機能の2つを併せて持っている「スーパー生地」です

今までは、防水と透湿の2つの性能の両立が難しいと考えられていましたが、ゴアテックスは、この2つの機能を実現しました

ゴアテックスの登場により、雨天時でも体をドライに保ちアウトドアを楽しむことができるようになったので、特に「登山」や「雨の日に野外で仕事をする人」には、かなりありがたい機能

その特徴によって、「蒸れずに動ける」ことがどれだけありがたいか!!!

「登山」であれば、低体温症などによる遭難の危険が軽減されて、行動範囲がとても広がります

防水のみのカッパでは、汗をかく行動ができないので、あまり動けなくなります

それだけ、汗処理(あせしょり)は難しいです

それが、ゴアテックスを使うだけで、ほぼ解決!

登山界にとっては、「産業革命」に匹敵(ひってき)する発明だといえます

 

ゴアテックスがない時代は「カッパ」と「ヤッケ」

ゴアテックスがない時代の登山は、「完全防水のカッパ」を着ていました

先人に聞くと、カッパの機能は「防水」だけなので、雨は防いでくれますが、汗を通さず注意しないとカラダが「ビチャビチャ」にぬれてしまったということでした

夏は「カッパ」を使っていましたが、冬は「ヤッケ」を使うことが多かったようです

「ヤッケ」とは、ちょうど「ウィンドブレーカー」に近い製品ですね

▼これが「ヤッケ」です

これは通気性と防風性がありますが、防水性は「ほぼ」ありません

冬も注意しないと、溶けた雪が「しみてきます」

これらからわかるとおり、ゴアテックス以前の登山は、「濡れ(ぬれ)との戦い」だったようです

 

そんなときに救世主のように登場したのが「ゴアテックス」

価格はかなり高価でしたが、登山のためにあるような機能で、瞬く間(またたくま)に登山界に広まっていきました

 

「ゴアテックスメンブレン」と「ゴアテックスファブリクス」の意味

一般的に「ゴアテックス」には2つの意味があります

  1. 1つ目は、ゴアテックスの正体である「防水膜(ゴアテックスメンブレン)」
  2. 2つ目は完成型の「防水生地(ゴアテックスファブリクス)」

ゴアテックスを説明するには、このゴアテックスメンブレンとゴアテックスファブリクスを説明する必要があります

 

ゴアテックスメンブレン=透湿防水の膜

ゴアテックスの正体は、「ゴアテックスメンブレン」という膜

水は通さないけど、水蒸気は通す「膜」です

これが透湿防水の一番のキモの部分

ゴアテックスメンブレンは、小さな孔(あな)がたくさん空いた構造をしています

この孔(あな)は、「水蒸気の分子」は通るけど、「水の分子」は通れない、分子レベルでの調整がされています

そのため「水や風を通さずに、水蒸気だけ通す」ことができ、「雨を防ぎつつ、汗を逃がしてくれる素材」となるわけです

 

ゴアテックスファブリクス=メンブレンを含む完成させた1枚

ゴアテックスメンブレンは「ペラペラの膜」なので、メンブレン単体でウェアの生地として使うことはできません

メンブレンの表と裏に別の布を貼り合わせ、1つにした生地が「ゴアテックスファブリクス」です

先ほども言いましたが、一枚の生地ではなく、何枚かの生地を貼り合わせて一枚の布にしています

そのため、表地と裏地を変えることで、いろんな特徴をもった「ゴアテックスファブリクス」を作ることも可能な汎用性も持っています

一般的に言われる、透湿防水生地としての「ゴアテックス」は、この何層にもなって1枚に見える「ゴアテックスファブリクス」のことを指していることが多いですね

 

ゴアテックスの素材の構造は3層が基本

ゴアテックスの構造について、紹介します

ゴアテックスの構造の基本は「3層」の仕組みになっています

▼3構造の役割

パーツ役 割
①表地撥水・耐久性の向上
②メンブレン(膜)防水・防風・透湿
③裏地吸湿・メンブレンの汚れ防止・肌触り

①外側(表)の素材

一番外側の部分は、水をはじく性質の素材が用いられ、風やほこりにも強い素材です

この外側の強い素材により、ゴアテックスの丈夫さは支えられています

②中央(真ん中)(ゴアテックスメンブレン)の素材

中央の素材がゴアテックスの重要な素材で、メンブレンと呼びます

ここが機能して初めて透湿防水になるので、前後の生地は、ここを保護することが一番の仕事です

③内側(裏)の素材

内側の素材は肌(はだ)に最も近い生地になります

水蒸気などが直接肌に当たるのが、この内側の生地で、この内側の生地も重要な素材です

透湿防水のメンブレンが親水性(水とよくなじむ)なので、肌からの汚れがつきやすいんです

「裏生地」は、この汚れ防止が一番重要です

このようにゴアテックスは、ゴアテックスラミネートと呼ばれる3層の構造が基本です

 

ゴアテックス「3」「2」「2.5」レイヤーは層の数を表す

ゴアテックスには「レイヤー」という考え方があります(ゴアテックス以外の透湿防水生地も同様)

ここでは、ゴアテックスのレイヤーの違いについて説明します

 

レイヤーというのは、ゴアテックスファブリクスの構造の違いを表しています

ゴアテックスには、「3レイヤー」「2.5レイヤー」「2レイヤー」の3種類があります

それぞれ特徴が変わってきますので、詳しくご紹介します

 

●3レイヤー

ゴアテックスの基本生地構造は、表地・ゴアテックスブレン・裏地の3層です

この3層構造のゴアテックスが「ゴアテックス3レイヤー」です

重さを考えなければこの形が登山にとっては一番優秀です

 

●2レイヤー

3レイヤーから裏地を省いたもの、つまり、表地・ゴアテックスブレンの2層のみでできたものが「ゴアテックス2レイヤー」といいます

軽さを追求した形です

しかし、このままでは、ゴアテックスブレンがむき出しで皮脂や汗が付いてしまうデメリットがあって、今、ほとんどありません

 

●2.5レイヤー

「2レイヤー」のデメリットを補うのが「ゴアテックス2.5レイヤー」です

裏側を凸凹(でこぼこ)のあるプリントをすることで、メンブレンを保護したもの、これが「ゴアテックス2.5レイヤー」です

しかし、このプリントは単なる加工であって生地ではないので、「0.5」とカウントされます

また、2レイヤーは、別の生地、貼り合わせていない独立した生地を併用することでゴアテックスブレンを保護しています

 

現在は、3レイヤーと2.5レイヤーが主流で、2レイヤーはほとんど使われていません

そんなことで、「2.5レイヤー」と「2レイヤー」を区別しない方もいます

 

「それなら3レイヤーでいいじゃん! 2.5とか2レイヤーにする理由は?」

 

と思う人もいると思います

これには深い理由があります

その理由は「軽量化」

何枚も層のあるゴアテックスって意外と重いんです

防水だけのウェアならば、1枚(1レイヤー)で十分ですが、それが3枚もあります

簡単に言うと、カッパを3枚着ていることになります(ちょっと大げさですが)

これをできるだけ軽量化したい思いが「2レイヤー」・「2.5レイヤー」を作りました

登山をする人は、「軽量化」の執着(しゅうちゃく)が半端ありません

先人(せんじん)の話を聞くと、軽量化のため、ウェアのタグ(首の後ろにある商品タグ)は原則すべて切っていたそうです

タグ1枚の重さなんてたかが知れている・・・と思うかもしれませんが、そのくらい血眼(ちまなこ)になって軽量化を考えていたといえますね

 

ゴアテックス社はみんなが株主

こちらのコラムで書いていますが、「ゴア社」は社員全員に「持ち株」を渡しています

日本人が知らない「ゴアテックス」強さの秘密 | 読書
ゴアテックスは広く知られているが、それを製造している会社がWLゴア&アソシエイツだというのは知らない人がほとんどだろう。だが、例の防水性と透湿性を両立した素材と同じくらい、それを生み出した会社もすばら…

これがほかの会社と比べると、高成長の理由の一つのようです

つまり「自然と仕事に責任を持てる環境をつくる」ということですね

そして、民主主義を重視した理念も特長の一つです

それに関連して、ゴア社ならではの下記のようなエピソードがあります

リーダーは指名されるのではなく、ついていく人がある程度いれば、自然と立ち上がる。

これも一般の会社組織では見られない「おもしろいシステム」です

個人的に「15少年漂流記」で主人公の「ブリアン」と「ゴードン」が自然とリーダー格になっていったことを思い出しました

「漂流記」も「ゴア社」も雰囲気でリーダーが決まっていく、民主主義のお手本のような手法です

研究者は業務時間のうち、10パーセントを新しいアイデアのために使っていいことになっている。

これは、最近多くの会社がマネしているやり方です(Googleは20%)

新しいことへの「飽くなき挑戦(あくなきちょうせん)」がよくわかるエピソードで、個人的にとても好きなシステムです

このように、ゴアテックスという「素材」もすごいですが、このような会社の環境が「ゴアテックス」を作っているということは、あまり知られていないようです

こういったやり方で、従業員満足度のアワードで賞をもらったり、直近20年間で収益3倍もの成長を遂げたり(とげたり)しているのです

いいものができる理由がよくわかります

透湿防水の素材だけでなく、こういったところも他のメーカーも生かして、そしていいものを作ってほしいですね

以上

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